訴訟に発展するパターン
高松で交通事故の示談がまとまらないとき ― 「訴訟」という選択肢の本当の意味
この記事でお伝えすること
交通事故の被害に遭ったあと、加害者側の保険会社と示談交渉を続けても、なかなか話がまとまらない。
「このままだと、裁判になってしまうのだろうか」と、不安を感じている方は少なくありません。
この記事では、高松で交通事故の示談が訴訟に発展する典型的なパターンを、5つに整理してお伝えします。
そのうえで、「訴訟」という言葉に対して、多くの方が抱いている誤解を解きほぐしていきます。
訴訟は、決して「最終決戦」のような戦いではありません。
被害者にとって、適正な賠償を受けるための戦略的な選択肢のひとつです。
そのことを、できるだけ平易にお伝えします。
高松でも、示談が訴訟に発展する事案は少なくありません
交通事故の解決は、本来であれば、当事者同士の話し合い ― すなわち示談 ― でまとまることが理想です。
しかし、実務の現場では、話し合いだけで決着しない事案が一定数存在します。
そのような事案では、まず簡易裁判所で行われる「調停」という手続きに移ることがあります。
調停は、調停委員という第三者を間に挟んで、双方の言い分を整理し、合意点を探る手続きです。
それでも合意に至らなければ、いよいよ「訴訟」を提起することになります。
訴訟金額が140万円以下であれば簡易裁判所、それを超えるものは地方裁判所が、第一審の管轄となります。
第一審の判決に納得がいかなければ、控訴、さらには上告という道もあります。
高松の交通事故案件においても、こうして民事訴訟にまで発展するケースは、決して珍しくはありません。
示談が訴訟に発展する5つの典型パターン
ここからは、当事務所がこれまで関わってきた事案の傾向を踏まえて、訴訟に発展しやすい5つのパターンをご紹介します。
ご自身のケースが、どのパターンに当てはまりそうかを、確認しながら読み進めてみてください。
① 過失割合をめぐって、双方が譲らないケース
被害者にも一定の過失があると主張される事故では、過失割合の数字が、最終的な賠償額を大きく左右します。
たとえば、被害者の過失が10%多く認定されるだけで、賠償額が数十万円から数百万円単位で減額されることもあります。
そのため、「自分の過失はもっと小さいはずだ」と感じる被害者と、「被害者側の落ち度はもっと大きい」と主張する保険会社の間で、対立が深まることがあります。
過失割合は、過去の判例の積み重ねによって基準が定められていますが、現場の状況によって評価が分かれる余地が残っています。
ここがまさに、訴訟で決着をつけざるを得なくなる典型的な争点です。
② 後遺障害の等級認定に納得できないケース
複数の部位に後遺症が残った場合、それぞれの等級が「併合」されて、より重い等級として扱われることがあります。
しかし、併合の評価は機械的に決まるものではなく、個別の症状の重さや、生活への影響度合いをめぐって、見解が分かれることがあります。
被害者側は「もっと重い等級が認められるべきだ」と考え、保険会社側は「現在の認定は重すぎる」と考える。
このすれ違いが解消されないとき、訴訟の場で改めて等級評価を争うことになります。
③ 高額所得者が亡くなられた事案
被害者が高額所得者で、不幸にも亡くなられた場合、逸失利益(将来得られたはずの収入に相当する損害)の金額が、極めて大きなものになります。
時には1億円を超える金額が問題となるため、保険会社としても、安易には応じられません。
「就労可能年数を短く見積もるべきだ」「将来の収入が現在のまま続いた保証はない」など、さまざまな反論が出てきます。
こうした事案では、ほとんどの場合、訴訟による厳密な立証が必要になります。
④ 画像所見の出にくい症状をめぐる争い
むち打ち症や、PTSD(心的外傷後ストレス障害)のように、レントゲンやMRIの画像に明確な異常が映りにくい症状があります。
このような症状について、被害者は「日常生活に大きな支障が出ている」と訴える一方で、保険会社は「客観的な裏づけが弱い」として、賠償を抑えようとすることがあります。
医学的所見と、被害者の実感との間に距離があるため、双方の歩み寄りが難しいのです。
このタイプの事案では、医師の意見書、神経学的検査の結果、通院の経過など、複数の証拠を積み上げて、症状の存在を立証していく必要があります。
そのため、訴訟に発展する例が少なくありません。
⑤ 加害者が、自らの過失を認めようとしないケース
事故の状況が明白であるにもかかわらず、加害者が頑なに自らの非を認めない事案も、残念ながら存在します。
「被害者が急に飛び出してきた」「停まっていたのは相手のほうだ」など、客観的な証拠と矛盾する主張を繰り返されると、示談交渉は進みません。
ドライブレコーダーや目撃証言、現場の状況証拠などを総合的に評価する必要があり、これも訴訟で争われやすい類型です。
「訴訟」という言葉への誤解を、ここで解いておきます
ここまで読んで、「やはり訴訟になるのは怖いことだ」と感じられた方もいるかもしれません。
しかし、ここで一度、訴訟という制度に対する見方を整理しておきたいと思います。
訴訟は、「最終決戦」ではありません
訴訟は、当事者同士の話し合いだけでは解決できないときに、裁判所という公平な第三者の判断を借りるための手続きです。
裁判所は、戦いの場ではなく、整理の場です。
双方の主張と証拠を整理し、過去の裁判例に照らして、合理的な結論を導くための仕組みです。
訴訟になっても、判決まで行くとは限りません
実際の交通事故訴訟では、判決まで進む前に、「和解」によって決着する事案が、相当の割合を占めています。
訴訟の途中で、裁判所から和解の提案がなされ、それを受けて双方が歩み寄るのです。
つまり、訴訟提起は「話し合いの打ち切り」ではなく、「裁判所を交えた、より精度の高い話し合いの始まり」と捉えることもできます。
訴訟しないことが、必ずしも被害者の利益になるとは限りません
「訴訟は避けたほうがいい」とだけ考えていると、保険会社からの不当に低い提示を、そのまま受け入れてしまう危険があります。
訴訟という選択肢を持っていることは、それ自体が、交渉力を支える土台になります。
訴訟を辞さない構えがあるからこそ、示談の段階でも、適正な金額に近い提示が引き出せる ― それが実務の現実です。
高松で訴訟になった場合の、実務的な流れ
高松にお住まいの被害者の方が訴訟を提起する場合、訴額に応じて、高松簡易裁判所、または高松地方裁判所が窓口となります。
訴状を提出してから、第1回の期日が開かれるまでには、おおむね1か月から1か月半ほどの時間がかかります。
その後、月に1回程度の頻度で期日が重ねられ、書面の提出と反論を繰り返しながら、争点が絞り込まれていきます。
事案の複雑さによりますが、判決または和解までに、半年から1年半程度の期間を見込んでおくと、現実的な感覚に近いと思います。
訴訟の途中で和解が成立すれば、もっと短い期間で解決することもあります。
弁護士費用については、ご自身またはご家族の自動車保険に「弁護士費用特約」が付いている場合、原則として300万円までは保険から支払われます。
被害者の自己負担なしで、弁護士に依頼できる可能性が高いということです。
「拗れそうだ」と感じた時点で、動き始めることをおすすめします
訴訟になりやすい5つのパターンを見て、「自分の事案にも当てはまりそうだ」と感じられた方は、できるだけ早い段階で、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
理由は、3つあります。
ひとつめは、初動の選択を誤らないためです。
治療の進め方、後遺障害申請のタイミング、保険会社への返答の仕方 ― 早い段階での選択が、後の交渉や訴訟の結果を、大きく左右します。
ふたつめは、証拠を散逸させないためです。
時間が経つほど、目撃者の記憶は薄れ、現場の状況も変化します。
ドライブレコーダーの映像や、医療記録の取得も、早いほうが確実です。
みっつめは、解決までの全体時間を短縮するためです。
「示談交渉で1年、決裂してから訴訟で1年」となるよりも、早い段階で訴訟を含めた戦略を立てたほうが、結果として早く解決することがあります。
なお、ご相談の段階では、必ずしも訴訟を前提にする必要はありません。
示談で解決できる事案であれば、示談で解決します。
訴訟しか道がない事案であれば、訴訟という選択肢を、丁寧にご説明します。
事案の性質を見極めたうえで、被害者にとって最も合理的な道筋をご提案するのが、私たちの役割です。
まとめ
高松の交通事故案件においても、示談が訴訟に発展するケースは、決して珍しくありません。
過失割合、後遺障害等級、高額所得者の死亡事案、画像所見の出にくい症状、加害者の態度 ― これらが争点となる事案では、訴訟が現実的な選択肢として浮上してきます。
しかし、訴訟は「戦い」や「最終決戦」ではなく、当事者だけでは整理しきれない問題を、裁判所の力を借りて整理するための制度です。
訴訟を恐れて低い金額で示談してしまうことのほうが、被害者にとっては大きな損失になり得ます。
ご自身の事案が、示談で解決すべきものなのか、訴訟も視野に入れるべきものなのか。
その見極めだけでも、一度、交通事故に詳しい弁護士に相談してみる価値はあると思います。
判断材料が増えれば、見えてくる道筋も変わってきます。
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