丸亀うどん祭りでの交通安全のために
はじめに:この記事で分かること
丸亀市にお住まいの皆さま、そして11月のうどん祭りを楽しみにされている皆さまへ。
秋風が心地よい11月。
丸亀の街が、1年でいちばん、おいしい匂いに包まれる2日間といえば、そう、丸亀うどん祭りです。
うどん好きにはたまらない、聖地巡礼の季節です。
ところが、実はドライバーにとっては、1年で最も神経をすり減らす、魔のシーズンでもあることをご存じでしょうか。
この記事は、丸亀市の交通事故の要因を調べた資料をもとに、その楽しいお祭りの影にひそむ危険を見つめ直すものです。
読み終えるころには、次のことが分かるようになっています。
・うどん祭りの当日、どこで、どんな渋滞が起きるのか。
・なぜ、秋の夕暮れ時が、特に危険なのか。
・その危険から、どうやって身を守ればよいのか。
・もし事故に遭ってしまったとき、被害者として知っておきたいこと。
私たちは高松市で、交通事故の被害者の側に立って活動している弁護士です。
丸亀市の方からのご相談も、これまで数多くお受けしてきました。
その経験から見えてきたことを、できるだけやさしい言葉でお伝えします。
1. イベントパニック:押し寄せる迷子ドライバーの群れ
まず、当日に街で何が起きているのかを、のぞいてみましょう。
局所的な渋滞の、リアルな姿
うどん祭りは、毎年11月の中ごろ、21日から22日にかけて開かれます。
この期間中、丸亀市役所前、丸亀通町、そして丸亀城のあたりを中心に、その場所だけ激しい渋滞が起こります。
その混みようは、地元の足を支える丸亀コミュニティバスが、全線で大幅に遅れたり、急に迂回や運休に追い込まれたりするほどです。
つまり、いつもの交通の流れが、すっかり乱れてしまうのです。
不慣れな道がもたらす、挙動不審
この大渋滞のなかに、まぎれ込んでいる車があります。
カーナビをじっと見つめながら走る、市外や県外からの観光車両です。
あそこを右だった。
いや、今の交差点だった。
そう焦りながら、不慣れな道で迷ったドライバーが、急な車線変更や、急な右左折を強行します。
ウインカーもないまま、突然、目の前で進路を変える。
これが、当日いたるところで起きている光景です。
地元の方にとっては慣れた道でも、観光客にとっては初めての道。
このギャップが、危険の種になります。
2. 魔の掛け算:秋の薄暮時と、無灯火の悪習
さらに事態を悪くするのが、11月ならではの、ある事情です。
日が暮れるのが、とても早いことです。
18時から20時は、死亡事故のゴールデンタイム
香川県警の分析によると、交通事故そのものは、通勤や通学の時間帯に多く起きます。
ところが、死亡事故に限ると、話が変わります。
18時から20時、つまり薄暮時から夜にかけての時間帯に、最も集中しているのです。
ちょうど、秋の行楽帰りのラッシュと、早い日没が、ぴったり重なる時間です。
日が沈む前後の、空がうす暗くなる時間帯のことです。
昼でも夜でもない明るさのため、歩行者や対向車が見えにくくなります。
このため、早めのライト点灯が、とても大切になります。
見えない車と、焦る迷子
ここに、香川特有の悪い習慣が加わります。
薄暗くなっても、車幅灯すらつけない、無灯火走行です。
周りが急に暗くなるなか、ライトをつけない地元の車。
そして、道が分からず、突然割り込んでくる観光客の車。
見えない車と、焦る迷子。
この二つが出会ったとき、お互いに相手の動きを読めません。
この認知のズレこそが、重大な追突事故の引き金になるのです。
暗くなっても、ヘッドライトや車幅灯をつけずに走ることをいいます。
自分は見えているつもりでも、相手からは自分の車が見えていません。
特に薄暮時には、歩行者やほかの車に発見されるのが遅れ、事故につながります。
3. 薄暮時を生き抜く、3つの鉄則
楽しいうどん探訪を、悲劇に変えないために。
今すぐ実践できる、三つの防衛運転術をお伝えします。
鉄則1:観光車の後ろは、車間距離をいつもの2倍に
県外ナンバーの車。
あるいは、速度が妙に遅かったり、フラフラしていたりする、挙動の怪しい車。
そんな車の後ろについたら、いつでも急ブレーキを踏まれるかもしれない、と予測しましょう。
そして、車間距離を、いつもの2倍は広く取ってください。
迷っているドライバーは、何の前ぶれもなく、急に止まります。
その分の余裕を、あらかじめ持っておくのです。
鉄則2:午後4時にはライトをオン、思いやり点灯
ライトは、自分の前を照らすためだけのものではありません。
自分という存在を、迷子のドライバーや歩行者に知らせるためのものでもあります。
だから、暗くなる前の、早い時間からつけましょう。
午後4時には、もうライトをオンにする。
この思いやり点灯が、あなたの車を、周りから見えやすくします。
見えていれば、避けてもらえます。
鉄則3:当日は、バスの運行情報を事前にチェック
出かける前に、コミュニティバスの迂回や運休の情報を調べておきましょう。
どのエリアが激しく渋滞するのか、事前に予測ができます。
それが分かれば、混雑する場所を避けたルートを、選ぶことができます。
ひと手間の準備が、当日のいらいらと危険を、まとめて減らしてくれます。
4. もし事故に遭ってしまったら:被害者として知っておきたいこと
ここで少しだけ、私たち被害者側の弁護士の立場から、お伝えしたいことがあります。
夕暮れ時の事故には、特有のむずかしさがあります。
それは、暗かったために、状況がはっきりしないことが多い、という点です。
相手は無灯火だった。
急に割り込んできた。
そう感じても、暗がりのなかでは、それを証明するのが難しくなります。
だからこそ、ドライブレコーダーの映像が、何よりも力を持ちます。
事故が起きた責任が、当事者それぞれにどれくらいあるかを、数字で表したものです。
たとえば、片方が7、もう片方が3、というように分けられます。
この割合によって、受け取れる賠償の金額が変わってきます。
たとえば、相手が無灯火で走っていた場合、その事実が、相手の責任を重くする方向に働くことがあります。
しかし、それは記録があってこそ、主張できることです。
映像が残っていれば、暗かった、見えなかった、という言い分にも、客観的な裏づけで応じることができます。
事故の直後は、気が動転して、当然の権利を見落としてしまいがちです。
慌てて示談に応じてしまわず、まずはドライブレコーダーの映像を保存し、落ち着いて状況を整理することが大切です。
保険会社の論理と、被害者が置かれた現実との間には、しばしば大きな隔たりがあります。
私たちは高松市で、その隔たりを埋めるために、被害者の側に立ち続けてきました。
丸亀の道を誰よりもよく知る皆さんと一緒に、この問題を考えていきたいと思っています。
5. 心に、数秒のゆとりという薬味を
絶品のうどんを、おなかいっぱい堪能する。
その幸せな帰り道で、事故に巻き込まれてしまっては、すべてが台無しです。
せっかくの秋の一日が、つらい記憶に変わってしまいます。
そうならないために、できることは、決してむずかしくありません。
行楽シーズンの夕暮れ時は、いつも以上に、かもしれない運転を徹底すること。
前の車が、急に止まるかもしれない。
横から、迷った車が入ってくるかもしれない。
そして、道に不慣れなドライバーを、やさしく見守る、数秒の心のゆとりを持つこと。
おいしいうどんに薬味を添えるように、運転にも、ゆとりという薬味を添える。
それだけで、丸亀の秋は、もっと安全で、もっと味わい深いものになります。
地元の人も、観光に来た人も、みんなが笑顔で帰れる、うどん祭りに。
この丸亀の秋を、これからもずっと、安心して楽しめる季節にしていきましょう。
最後に、もし交通事故に巻き込まれ、どうすればよいか分からず不安なときは、一人で抱え込まないでください。
信頼できる人や、交通事故にくわしい専門家に、早めに相談することができます。
この記事が、丸亀市で暮らす皆さまの、安全な毎日の助けになれば幸いです。
