丸亀での死亡事故多発時間帯「 魔の午後6時」

はじめに:この記事で分かること

丸亀市にお住まいの皆さま、そして毎日のように市内の交差点を運転される皆さまへ。
毎日通っている、なんてことない地元の交差点。
あるいは、ナビに言われるがまま突入して、えっ、どっちの信号、と冷や汗をかいた複雑なバイパス。
ドライバーなら、誰しも経験がありますよね。
実は、私たちが何気なく通過している交差点の中には、ある罠が仕掛けられている場所があります。
ドライバーの脳に、ものすごいストレスを与え、一瞬の判断ミスを誘う、見えない罠です。
この記事は、丸亀市の交通事故の要因を調べた資料をもとに、その罠の正体を読み解くものです。
読み終えるころには、次のことが分かるようになっています。
・城西町の交差点で、なぜ出会い頭事故が後を絶たないのか。
・綾歌町の複雑な交差点が、なぜドライバーの脳をパニックにさせるのか。
・そうした危険な交差点を、どんな心構えで通ればよいのか。
・もし事故に遭ってしまったとき、被害者として知っておきたいこと。
私たちは高松市で、交通事故の被害者の側に立って活動している弁護士です。
丸亀市の方からのご相談も、これまで数多くお受けしてきました。
その経験から見えてきたことを、できるだけやさしい言葉でお伝えします。

1. 城西町の罠:「止まれ」が、ただの背景に

まず、地元の生活道路にひそむ危険から見ていきましょう。

日常生活に密着した道路ほど、危ない

統計を見ると、おどろくべきことが分かります。
丸亀市内の交差点で起きる事故のうち、最も多いのが出会い頭事故です。
その割合は、なんと全体の約6割、60.2%にのぼります。
さらに、市町道などの身近な生活道路での事故が、全体の約4割、39.6%を占めています。
つまり、大きな幹線道路よりも、毎日の暮らしに近い道のほうが、危ないのです。

【用語解説】出会い頭事故(であいがしらじこ)
交差点などで、別々の方向から来た車や人が、お互いに気づくのが遅れてぶつかる事故のことです。
見通しの悪い交差点や、一時停止を守らない場面で多く起こります。
丸亀市内の交差点事故では、これがいちばん多い類型です。

城西町の交差点に見る、形骸化

その象徴ともいえるのが、城西町にある、信号機のない交差点です。
県道と市道が交わる場所です。
ここには、手前にはっきりと、止まれの標識や路面の標示があります。
それにもかかわらず、過去5年間で、12件もの人身事故が起きています。
原因は、二つあります。
一つは、見通しの悪さです。
そしてもう一つが、ドライバーの間で、一時停止の義務が形だけになってしまっていることです。
減速しただけで、止まったつもりになる。
この油断が、出会い頭事故を、後を絶たないものにしているのです。

【用語解説】形骸化(けいがいか)
ルールや決まりが、形だけ残って、中身が守られなくなることをいいます。
止まれの標識があっても、誰も完全には止まらない、という状態がこれにあたります。
慣れた道ほど、こうした形骸化が起こりやすくなります。

2. 綾歌町の罠:ナビも困惑する、初見殺しの変則規制

一方、まったく別の種類の危険があるのが、綾歌町です。
こちらは、ドライバーの脳を、物理的にパニックに陥れる罠です。

視覚と空間がもたらす、大混乱

綾歌町には、国道32号と旧道が、並んで走る近接交差点群があります。
ここの複雑さは、まさにトラップ級です。
旧道側は、右折禁止。
国道32号側は、左折禁止。
こうした変則的な規制があるうえに、極めて短い間隔で、信号機がいくつも連続して設置されています。
初めて通る人にとっては、まさに初見殺しの構造です。

認知の遅れが、衝突を生む

このあまりにも複雑な構造は、ドライバーに、過度なストレスを与えます。
その結果、脳の意思決定が、ガクンと遅れてしまうのです。
えっと、私はどっちの信号に従えばいいの。
そう迷った、その数秒の遅れ。
それが、車両同士の衝突事故を引き起こす原因になっています。

【用語解説】認知負荷(にんちふか)
一度にたくさんの情報を処理しようとして、脳にかかる負担のことです。
標識や信号、車線の判断が一気に押し寄せると、この負荷が大きくなります。
負荷が高すぎると、基本的な安全確認がおろそかになり、事故につながります。

3. 交差点を安全に突破する、3つの運転マインド

危険な交差点で、本当に必要なもの。
それは、高度な運転テクニックではありません。
事前の、心構えです。

マインド1:城西町スタイルには、車輪を完全に止める2段階停止

止まったつもりの、惰性運転を撲滅しましょう。
標識の前で、一度、車輪を完全に停止させます。
時速0キロメートル、つまり、ぴたりと止まる、ということです。
そして、一呼吸おいてから、少しずつ前に出て、左右を確認する。
この2段階で確認する癖をつければ、出会い頭事故の多くは防げます。

マインド2:綾歌町スタイルには、ルート予測と、あきらめる勇気

複雑な交差点群を通ることが分かっているなら、事前に車線や規制を、頭の中でイメージしておきましょう。
それでも、現地で迷ってしまうことはあります。
車線変更が、間に合わないこともあります。
そんなときは、無理に曲がろうとしないでください。
あきらめて、そのまま直進する。
そして、安全な場所で、ルートをやり直す。
この、あきらめる勇気とゆとりが、命を救います。

マインド3:見通しの悪い旧国道438号のカーブも要注意

飯山・綾歌地域、特に神社の下付近のカーブも、毎月のように事故が起きている危険箇所です。
こうした場所では、道路標識や段差舗装などの警告を、見逃さないようにしましょう。
そして、バイパスが整備されるまでは、徹底的に速度を落とすこと。
これが、鉄則です。

4. もし事故に遭ってしまったら:被害者として知っておきたいこと

ここで少しだけ、私たち被害者側の弁護士の立場から、お伝えしたいことがあります。
無信号の交差点での出会い頭事故には、特有のむずかしさがあります。
それは、お互いに、自分は止まった、相手が飛び出してきた、と主張しがちなことです。

【用語解説】過失割合(かしつわりあい)
事故が起きた責任が、当事者それぞれにどれくらいあるかを、数字で表したものです。
無信号の交差点では、一時停止の標識があった側の責任が、重く見られます。
ただし、相手の速度や、止まったかどうかによって、割合は調整されます。

出会い頭事故では、どちらに止まれの標識があったか、が大きな意味を持ちます。
標識があった側は、原則として、重い責任を負うことになります。
しかし、相手の車がスピードを出しすぎていた場合などは、その割合が変わってきます。
止まったか、止まらなかったか。
どちらが先に交差点に入ったか。
こうした点をめぐって、双方の主張が、真っ向から食い違うことが少なくありません。
だからこそ、客観的な記録が、何よりも大切になります。
ドライブレコーダーの映像、近くの防犯カメラ、そして目撃した方の話。
これらが、その瞬間に何が起きたのかを、静かに語ってくれます。
事故の直後は、動揺して、当然の権利を見落としてしまいがちです。
慌てて示談に応じてしまわず、まずは記録を残し、落ち着いて状況を整理することが大切です。
保険会社の論理と、被害者が置かれた現実との間には、しばしば大きな隔たりがあります。
私たちは高松市で、その隔たりを埋めるために、被害者の側に立ち続けてきました。
丸亀の道を誰よりもよく知る皆さんと一緒に、この問題を考えていきたいと思っています。

5. 一流のドライバーは、脳にゆとりを持って走る

見通しの悪い交差点での、一瞬の油断。
複雑な道での、一瞬の焦り。
これらはすべて、私たちの心と脳のキャパシティを超えたときに、事故へとつながります。
逆に言えば、対処法は、はっきりしています。
地元の見慣れた道こそ、丁寧に止まる。
複雑な道こそ、スピードを落として、考える時間を稼ぐ。
たったこれだけで、防げる事故が、たくさんあるのです。
城西町の、完全に止まるという教訓。
綾歌町の、あきらめる勇気という教訓。
この二つを、そっとポケットに忍ばせてください。
そして明日の運転からは、一歩先を読む、スマートで格好いいドライバーを目指しませんか。
慣れた道に潜む油断と、複雑な道がもたらす焦り。
その両方を知っているあなたなら、もう大丈夫です。
住み慣れたこの丸亀の町を、これからもずっと、安心して走れる場所にしていきましょう。
最後に、もし交通事故に巻き込まれ、どうすればよいか分からず不安なときは、一人で抱え込まないでください。
信頼できる人や、交通事故にくわしい専門家に、早めに相談することができます。
この記事が、丸亀市で暮らす皆さまの、安全な毎日の助けになれば幸いです。

被害者に役立つ情報

目次