徐行の本当の意味と、事故が起きたあとに大切なこと

2026.05.12

徐行ってなんだろう?

車に乗っていると、時速40キロから60キロのスピードに目がなれてきます。

そうすると、時速20キロくらいではとてもゆっくり感じます。

でも、歩いている人にとって、時速20キロはぜんぜんゆっくりではありません。

自転車の平均速度は、時速15キロから18キロくらいです。

つまり、自転車よりも速いスピードなのです。

そのうえ車は大きいので、近くを走られると、怖く感じます。

高松にも細い道路がたくさんあります。

歩行者と同じ道を走ることもあるでしょう。

そのとき、自分がどれくらいのスピードで通り抜けているか、思い出してみてください。

お年寄りや、小さい子どもを連れたお母さんは、自分の体のまわりに広く注意しなければなりません。

だから歩くスピードもゆっくりで、ふらつきやすいのです。

そこに自転車より速い車が通り抜けていくと、とても怖く感じます。

T字路から出てくる車も同じです。

T字路とは、まっすぐな道に横から別の道がぶつかってできる、Tの字の形をした交差点のことです。

一時停止するとしても、車体の大きさだけで歩行者は圧倒されます。

止まる直前のスピードが速ければ、もっと怖くなります。

スピードを出しすぎて、いいかげんな一時停止しかしなかった車が、歩行者や自転車とぶつかる事故も、高松で起きています。

狭い道で歩行者といっしょに走るときは、徐行が義務づけられています。

徐行とは、すぐに止まれるスピードのことです。

法律上の定義では、時速40キロでもすぐに止まれれば徐行とみなされます。

でも、本当にそれでいいのでしょうか。

歩行者にあたえる恐怖を考えて、思いやりのある運転を心がけましょう。

もし事故にあったら——「速度」はどう決まる?

事故が起きると、警察が実況見分調書という書類を作ります。

実況見分調書とは、警察が事故現場で調べたことを書きとめた、公式の書類のことです。

被害者の多くは、これを「警察が作った正しい資料」だと信じています。

でも、ここに落とし穴があります。

事故のときに車が何キロ出ていたか、という記録は、じつは加害者の自己申告がもとになっていることが多いのです。

自己申告とは、自分で「こうでした」と申し出ることです。

つまり、加害者が「30キロくらいでした」と言えば、それがそのまま書かれてしまうことがあるのです。

ですので、本当の速度にどれだけ近いのか、つねに疑いの目を持つことが大切です。

本当の速度を知る方法

それでも、本当の速度を調べる方法はあります。

歩行者が事故の衝撃でとばされた場合、体重と、とんだ距離から、物理の計算ができます。

その計算をもとに、車のスピードを逆算することができるのです。

また、車にドライブレコーダーがついていれば、その映像を解析して、より正確な速度がわかります。

ドライブレコーダーとは、車にとりつけて、運転中のようすを自動で録画する機械のことです。

そして実務でよく決め手になるのが、コンビニの防犯カメラ映像です。

コンビニは基本的に、警察にしっかり協力してくれます。

コンビニは大きな道路沿いにあることが多いので、防犯カメラの一部に事故のようすが映っていることがあるのです。

被害者側がこうした証拠を集めることで、加害者の自己申告だけにたよらない真実に近づくことができます。

同じ事故を、4人はちがう目で見ている

同じ徐行違反の事故でも、立場によって見え方はまったくちがいます。

ここでは、4人の視点をならべてみます。

1. 被害者の視点

被害者は「車が突然出てきた」「とても怖かった」と感じます。

体の痛みや、外に出るのが怖くなった気持ちも、記憶に残ります。

でも、加害者の車のナンバーや、事故直前のスピードは、ショックでよく覚えていないことがあります。

2. 加害者側の保険会社の損害調査担当の視点

損害調査担当とは、保険会社で「事故の損害がどれくらいか」を調べる人のことです。

この人は、保険金をなるべく少なくおさえたい、と考えがちです。

そのため、加害者に有利な記録を中心に見ます。

被害者の痛みや恐怖よりも、書類に書かれた数字を優先しがちです。

3. 整形外科医の視点

整形外科医とは、骨や関節、筋肉のけがを治すお医者さんのことです。

医師は、レントゲンに映るけがを中心に見ます。

そして、診療録という記録に書きとめます。

診療録とは、患者さんの症状や治療の内容を書き残すカルテのことです。

ところが、目に見えにくい痛みや、あとから出てくる症状は、記録に残りにくいことがあります。

4. 裁判官の視点

裁判官は、書類に書いてあることをもとに判断します。

被害者の気持ちや恐怖よりも、客観的な証拠を重視します。

実況見分調書や診療録に書かれていないことは、「なかったこと」にされやすいのです。

自分の「見え方」を客観視する大切さ

この4つの視点をならべると、あることに気づきます。

被害者の「怖かった」「痛い」という気持ちは、ほかの3人にはとどきにくい、ということです。

これは被害者が悪いわけではありません。

ただ、それぞれが見ているものがちがうだけなのです。

だからこそ、被害者側は早い段階から証拠を残すことが大切です。

事故現場や、けがの写真をとる。

ドライブレコーダーやコンビニの防犯カメラの映像を確保するよう、警察にお願いする。

医師に痛みのことをきちんと伝えて、記録してもらう。

こうした行動が、自分を守ることにつながります。

そしていちばん大切なのは、そもそも事故を起こさないことです。

徐行を守る、やさしい運転をみんなが心がけること。

それが、歩行者にとっても、運転する人にとっても、いちばん安心できる高松の道路をつくっていくのです。

被害者に役立つ情報

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