東かがわ市国道11号の交通事故について

1. この記事で分かること

この記事を読むと、次のことが分かります。
東かがわ市の国道11号が、なぜ事故の多い道なのか。
その理由が、この街の地形と、交通の流れに深く結びついていること。
そして、もし事故にあってしまったとき、被害者として何を知っておくべきなのか。
私たちは、香川県高松市で、交通事故の被害者の側に立って活動してきました。
保険会社の言い分と、被害者が置かれた現実とのあいだには、しばしば大きな隔たりがあります。
その隔たりを埋めることが、私たちの仕事です。
この記事では、東かがわ市の道路の特徴を、現場の感覚を交えてお話しします。
数字だけでは見えてこない危険を、できるだけ分かりやすくお伝えします。

2. 国道11号は、二つの顔を持つ道です

東かがわ市を東西に貫く国道11号は、四国の瀬戸内側を支える大動脈です。
徳島市から高松市を経て、松山市へとつながっています。
この道には、二つの顔があります。
一つは、地元で暮らす人たちの、生活の道としての顔です。
通勤や通学、買い物、病院への通院に、毎日使われています。
もう一つは、遠くから来る大型トラックの、物流の道としての顔です。
引田や馬宿のあたりを走る車のナンバーを見てみてください。
香川や徳島だけでなく、神戸、姫路、なにわ、大阪といった関西方面のナンバーが、とても多いことに気づくはずです。
これは、明石海峡大橋や大鳴門橋を通って、本州と四国を行き来する物流の流れを、そのまま映しています。
実際の交通量も、決して少なくありません。
平日の二十四時間で、引田の地区では約一万一千七百台、馬宿の地区では約九千台が通過しています。
つまり、地元の暮らしの車と、遠くを目指す大型トラックが、同じ一本の道の上で混ざり合っているのです。
この「混ざり合い」こそが、東かがわ市の交通を考えるうえで、最も大切な視点になります。

3. なぜ、昼間に事故が多いのか

交通事故というと、夜の暗い時間を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、この地域の事故は、むしろ昼間に多く起きています。
おおむね朝の六時から、夜の二十時までの活動時間帯に、事故が集中しています。
道路の種類ごとに見ると、国道11号の現道が、全体の事故のおよそ四割を占めています。
ここで言う「現道」とは、バイパスではない、昔からある本来の国道のことです。

【用語解説】現道(げんどう)
新しく造られたバイパスに対して、もともと使われてきた道のことを指します。
沿道に家やお店、信号や交差点が多く、生活の車も通過の車も入り混じるため、事故が起きやすい性質があります。

国道11号の現道では、近年も死亡事故が起きています。
令和三年、令和五年、令和六年に、それぞれ重い事故が発生しました。
交通量が多い道だからこそ、ひとたび事故になれば、その被害も大きくなりやすいのです。
昼間に事故が多い理由は、この時間帯にこそ、先ほどお話しした「混ざり合い」が最も激しくなるからです。
物流のトラックも、地元の生活の車も、同じ昼間に動きます。
その結果、性質の違う車が、同じ時間に、同じ道を奪い合うことになります。

4. 速度の違いが、事故を生みます

同じ道を走っていても、車によって「ちょうどよい速さ」はちがいます。
遠くを目指す長距離トラックや営業車は、時間を守るために、流れをリードしようとします。
少しでも早く、目的地に着きたいからです。
一方で、地元の高齢のドライバーや、原動機付自転車は、ゆっくりと走ります。
この速さのちがいが、危険を生みます。
後ろから来た速い車が、前の遅い車に追突する。
あるいは、追い越しを焦って、無理なタイミングで対向車線にはみ出す。
こうした事故が、速度差のある道では起きやすくなります。
国道11号のように、大型車の割合が高い道では、この危険がさらに増します。

【用語解説】大型車混入率(おおがたしゃこんにゅうりつ)
道路を通る全部の車のうち、大型トラックなどがどれくらいの割合を占めているかを示す数字です。
この割合が高い道ほど、車体の大きさや内輪差、停まりにくさによって、事故のときの被害が大きくなりやすいとされています。

大型トラックは、急には止まれません。
車体が大きいぶん、運転席から見えない死角も広くなります。
もしあなたが自転車や歩行者なら、トラックのすぐ近くにいるときは、特に注意が必要です。
運転手から、あなたが見えていないかもしれない、と考えておくことが大切です。

5. 交差点で起きる、右折と直進の衝突

混ざり合いの危険は、交差点でいっそう高まります。
バイパスがまだつながっていない現道では、朝の通勤の時間に、激しい渋滞が起きます。
渋滞は、人の心に焦りを生みます。
その焦りが、信号無視や、一時停止の見落としにつながります。
なかでも多いのが、右折と直進の車がぶつかる事故です。
右折しようとする車が、対向の直進車との距離や速さを見誤る。
そして、行けると思って曲がった瞬間に、衝突してしまう。
ここで気をつけたいのは、直進してくるのが大型トラックの場合です。
トラックは速く見えにくく、また止まるまでに距離が必要です。
ちゃんと確認した、と本人が思っていても、実際には間に合わないことがあります。
横断歩道を渡る歩行者が、右折車に巻き込まれる事故も、この時間帯に起きやすくなります。
交差点では、青信号であっても、いったん周囲を見渡す。
その一呼吸が、命を守ることがあります。

6. 大内白鳥バイパスは、街の安全をどう変えるのか

こうした危険を減らすために、いま整備が進んでいるのが、大内白鳥バイパスです。
全体でおよそ九・二キロメートルの、新しい道です。
すでに令和三年までに、約五・九キロメートルが開通しています。
この部分開通によって、引田庁舎からさぬき市役所までの所要時間が、およそ六分短くなりました。
六分という時間は、小さいように見えて、大きな意味を持ちます。
長距離を走るトラックにとっては、運行の計画が立てやすくなります。
そして令和九年度には、東かがわ市の伊座から白鳥までの、約二・一キロメートルがつながる予定です。
バイパスの役割は、ただ車を速く通すことではありません。
通過するだけの大型トラックを、生活の道から引き離すことにあります。
通過の車が現道から離れれば、そのぶん、歩行者や自転車、地元の車の安全が高まります。
これは、東かがわ市に暮らす人にとって、大きな前進です。
ただし、注意すべき点もあります。
バイパスの周りには、四国でも有数の企業を含めて、七つの工場や会社が新しく進出しました。
これは街の活気にとって、喜ばしいことです。
その一方で、新しい工場には、新しい荷物の流れが生まれます。
つまり、これまでとは別の場所に、新たな大型車の往来が生じる、ということでもあります。
道が変われば、危険のある場所も移っていきます。
便利になった道ほど、油断せずに走ることが、これからは大切になります。

7. もし、あなたが事故の被害者になったら

ここからは、被害者の立場に立った、現実的なお話をします。
東かがわ市の国道11号では、遠くから来た車にぶつけられる、ということが起こり得ます。
相手が関西方面のナンバーだった場合、加害者は遠くに住んでいることになります。
すると、その後のやり取りの多くは、相手の保険会社との間で進むことになります。
ここで、知っておいていただきたい言葉があります。

【用語解説】過失割合(かしつわりあい)
事故が起きた責任を、当事者それぞれにどれくらい割り当てるかを、数字で示したものです。
たとえば八対二であれば、相手に八割、自分に二割の責任があるという意味になります。
この割合によって、受け取れる賠償の金額が大きく変わります。

保険会社は、過去の似た事故をもとにした、標準的な数字を当てはめてきます。
しかし、その数字が、東かがわ市の道の実態に、いつも合っているとは限りません。
たとえば、大型車の割合が高い道での見通しの悪さ。
渋滞による焦りが生まれやすい時間帯。
こうした、その場所ならではの事情は、標準の数字には反映されにくいのです。
被害者が、相手の言うとおりの割合をそのまま受け入れてしまうと、本来受け取れたはずの賠償を、受け取れなくなることがあります。
また、けがをした事故であれば、人身事故としてきちんと扱われているかも、大切な確認点です。

【用語解説】人身事故(じんしんじこ)と物損事故(ぶっそんじこ)
人がけがをした事故を人身事故、車や物だけが壊れた事故を物損事故といいます。
体に痛みがあるのに物損事故のまま処理されてしまうと、後から治療やその費用を求めるときに、不利になることがあります。

事故の直後は、気が動転して、痛みに気づかないこともあります。
少しでも体に不調を感じたら、早めに病院へ行くこと。
そして、その記録を残しておくことが、後々あなたを守ります。
私たちが大切にしているのは、その道を実際に走る人の感覚に立って、事故を見ることです。
机の上の数字だけでは、本当の危険も、本当の被害も見えてこないと考えているからです。

8. 安心して暮らすために、いまできること

最後に、東かがわ市で暮らす皆さんへ、いまできることをお伝えします。
まず、国道11号の現道では、昼間の時間帯こそ気をつけてください。
事故は夜だけのものではありません。
次に、大きなトラックの近くを走るとき、自転車や歩行者は、運転手から見えていないかもしれない、と考えてください。
そして交差点では、青信号でも一呼吸おいて、周りを見渡してください。
引田の古い町並みや、瀬戸内の景色は、この街の宝です。
その暮らしを守るのは、一人ひとりの小さな注意の積み重ねです。
それでも、事故は完全には防ぎきれないことがあります。
もし事故にあってしまったとき、相手の保険会社とのやり取りに、少しでも不安を感じたなら。
その不安を、一人で抱え込まないでください。
過失割合や、けがの扱いについて、おかしいと感じたときは、早い段階で相談することができます。
私たちは、香川県高松市を拠点に、交通事故の被害者の側に立ってきました。
東かがわ市の道のことも、その地形や交通の流れまで含めて、現場の感覚とともに考えてきました。
この記事が、あなたとあなたの大切な人の、安全のための一助となれば幸いです。
そして、もし力が必要になったときには、いつでも頼れる場所がある、ということを覚えておいてください。

被害者に役立つ情報

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