東かがわ市の「西日」に注意してください
【東かがわ市・国道11号線】秋から冬の夕方、視界を奪う「西日」の正体。ドライバーと歩行者が今日からできる備え
この記事では、東かがわ市を東西に走る国道11号線で、秋から冬の夕方に増える「西日」による事故の仕組みをお伝えします。
なぜこの土地で、太陽がこれほど運転のさまたげになるのか。
どんな事故が、どの場面で起きやすいのか。
そして、ドライバーと歩行者、それぞれが今日からできる備えは何か。
交通事故の被害者側に立って活動してきた弁護士の視点も交えながら、順を追って整理していきます。
最後まで読んでいただくと、夕方の運転に対する見方が、少しだけ変わるはずです。
1. なぜ東かがわ市で「西日」が事故を招くのか
東かがわ市は、南に讃岐山脈、北に播磨灘をひかえた、東西に細長い土地です。
その平地のまんなかを、国道11号線とそのバイパスが貫いています。
ここで大切なのは、道路が「ほぼ真東から真西へ、まっすぐ伸びている区間」がとても多い、という点です。
地図を思い浮かべてみてください。
引田、三本松、白鳥、大内と、地名をたどっていくと、道はほとんど東西に走っています。
この「東西に長い道」という地形こそが、西日の問題を深刻にしています。
秋から冬にかけて、太陽の通り道は南寄りに、そして低くなっていきます。
夕方の16時から17時ごろ、高松方面、つまり西へ向かうドライバーを想像してください。
ちょうど進行方向の正面、視線とほぼ同じ高さに、太陽が居座ります。
サンバイザー、つまり日よけの板を下ろしても、その下のすき間から太陽が顔をのぞかせます。
結果として、まぶしさを防ぎきれず、太陽を直視せざるを得ない状況が生まれてしまうのです。
夏の太陽は高い位置にあるため、バイザーで遮ることができます。
ところが秋から冬は、太陽の角度が低くなるぶん、バイザーが役に立ちにくくなります。
「毎年この時期になると、あの道がまぶしい」と感じている方は、決して気のせいではありません。
土地の形と季節が重なって生まれる、地域ならではの現象なのです。
2. 西日が引き起こす「3つの事故パターン」
西日の怖さは、単に「まぶしい」で終わりません。
まぶしさは、具体的な事故の形に姿を変えます。
ここでは、特に起きやすい3つのパターンを取り上げます。
パターンA:前の車のブレーキランプが「消える」
強い西日を背中から浴びた前の車は、後ろから見ると光のかたまりに包まれます。
このとき、前の車がブレーキを踏んでも、後ろのドライバーには赤いランプが見えにくくなります。
太陽の強い光に、ブレーキランプの光が紛れてしまうからです。
国道11号線は交通量が多く、速度も出やすい道です。
前の車が減速したことに気づくのが遅れ、追突してしまう。
これが、夕方に多い事故の典型です。
パターンB:右折のときに対向車が「消える」
白鳥や三本松、大内のあたりの交差点で、山側へ右折しようとする場面を考えます。
西日がまぶしいと、対向車線をまっすぐ走ってくる車やバイクが、視界から消えてしまうことがあります。
特に、白や銀色の車は、明るい光に溶け込んで見えなくなりやすいのです。
これを「蒸発現象」と呼びます。
ドライバーは「車は来ていない」と思い込み、右折を始めます。
そこへ、見えていなかった直進車が突っ込んでくる。
右折車と直進車の衝突は、被害が大きくなりやすい、危険な事故です。
強い光と影が重なることで、本来そこにいるはずの車・バイク・人が、ドライバーの目から一瞬消えたように見えなくなる現象です。夜のすれ違い時にも起きますが、夕方の西日でも同じように起こります。
パターンC:歩行者が「黒い影」になる
ドライバーから見て、太陽を背にして立つ歩行者や自転車は、逆光の中の黒い影になります。
人の顔も、服の色も、動きの細かさも、すべてが影にのみ込まれます。
夕方は、子どもの下校や、買い物帰りの高齢者が道を行き交う時間でもあります。
つまり、もっとも見落としてはいけない人たちが、もっとも見えにくくなる時間帯なのです。
夕方の通勤・通学の時間帯が、事故の危険が高まる時間として知られているのには、こうした理由があります。
3. 弁護士の視点 ―「まぶしかった」は言い訳になるのか
ここからは、被害者側の弁護士として、ふだん現場で感じていることをお伝えします。
事故の相談を受けると、加害者側がこう言うことがあります。
西日がまぶしくて、見えなかった、と。
一見すると、仕方がなかったように聞こえるかもしれません。
しかし、ここには大切な考え方があります。
夕方に太陽が低くなり、まぶしくなることは、あらかじめ予測できることです。
法律の世界では、これを「予見できた」と表現します。
予測できる危険であれば、ドライバーには、それに備える義務があると考えられます。
つまり、まぶしくて前が見えないのなら、速度を落とすか、止まるべきだった。
そう判断されることが多いのです。
ですから、「西日のせいだ」という説明だけで、加害者の責任が大きく軽くなるとは限りません。
事故が起きたとき、加害者と被害者のそれぞれに、どれだけの責任があるかを割合で示したものです。たとえば9対1のように表します。この割合によって、受け取れる賠償金の額が変わります。
この点は、被害に遭われた方にとって、とても重要です。
加害者の「まぶしかった」という言葉に気おされて、泣き寝入りする必要はありません。
逆に、ハンドルを握る側にとっても、見過ごせない事実です。
西日を理由に、自分の責任がなくなるわけではない。
むしろ、まぶしいとわかっていながら速度を落とさなかった点を、問われる立場になりうるのです。
なお、ここでお伝えしているのは一般的な考え方です。
実際の事故では、状況によって判断が変わります。
個別の見通しについては、弁護士に直接ご確認いただくのが確実です。
4. 今日からできる、西日への備え
ここからは、ニュースではあまり語られない、すぐに役立つ工夫を紹介します。
どれも、特別な道具や費用を必要としないものばかりです。
偏光レンズのサングラスを選ぶ
ふつうのサングラスは、景色全体を暗くするだけです。
そのため、路面や前の車のガラスからのギラつきは、十分に抑えられません。
ここで役に立つのが「偏光レンズ」のサングラスです。
偏光レンズは、路面やガラスで乱反射した、目に刺さるような光だけを選んで弱めてくれます。
地元のメガネ店でも相談できますので、夕方の運転が多い方は検討する価値があります。
特定の向きの光だけを弱める仕組みを持ったレンズです。水面や路面、ガラスの表面ではね返るギラついた光をやわらげ、その奥の景色を見やすくします。
フロントガラスの「内側」を拭いておく
実は、西日の恐ろしさを倍にしているのが、フロントガラスの内側の汚れです。
ホコリ、手の脂、たばこのヤニなどが、薄い膜のようにこびりついています。
昼間は、ほとんど気づきません。
ところが、西日が当たった瞬間に、その汚れが光をまき散らします。
ガラス全体が白くにごり、一瞬、前がまったく見えなくなることがあります。
ですから、夕方になる前に、フロントガラスの内側を水ぶきし、そのあと乾いた布でふいておく。
これは、お金をかけずに今すぐできる、もっとも効果的な事故予防のひとつです。
ライトは「自分のため」ではなく「相手のため」
夕方の早めの時間にライトをつけることには、深い意味があります。
それは、自分が前を見やすくするためではありません。
西日を背負って、こちらと反対方向、つまり東へ向かって走る対向車や歩行者に、自分の存在を知らせるためです。
逆光の中では、あなたの車も「消えやすい」存在になっています。
ライトは、そこに自分がいますよ、と伝える合図なのです。
この意識の転換が、出会いがしらの事故を防ぎます。
5. 歩行者・自転車として ―「自分が消えている」と知る
ここまでは、主にドライバー目線でお話ししてきました。
しかし、道を歩く人、自転車に乗る人にも、知っておいてほしいことがあります。
それは、夕方の自分は、車から見えにくくなっている、という事実です。
特に、太陽を背にして横断歩道を渡るとき。
あなたの姿は、ドライバーの目には、まぶしさにのみ込まれた影として映っています。
ですから、「車がこちらに気づいているはず」と思い込まないことが大切です。
ドライバーと目が合うまで、横断を急がない。
そんな心構えが、身を守ります。
夕方の外出には、明るい色の服や、反射材を一つ加えてみてください。
かばんやくつ、つえに付ける小さな反射材でも、効果があります。
光をはね返す素材は、車のライトを受けて、あなたの存在をはっきりと浮かび上がらせます。
東かがわで暮らす一人ひとりが、こうした意識を持つことが、地域全体の安全につながります。
6. もしも、事故に遭ってしまったら
どれだけ気をつけていても、相手の不注意で事故に巻き込まれることはあります。
西日の事故は、加害者も被害者も「見えなかった」と語る、特有のむずかしさを抱えています。
だからこそ、被害に遭われたあとは、状況を正しく記録しておくことが大切です。
事故が起きた時刻。
太陽の向き。
道路がどの方角に伸びていたか。
これらは、後から責任の割合を考えるうえで、意味を持つことがあります。
そして、痛みや不安をひとりで抱え込まないでください。
保険会社から示された金額や説明に、少しでも引っかかりを感じたとき。
そのときは、立ち止まって、専門家の目を通してみるという選択肢があります。
私たちは、香川県高松市を拠点に、交通事故の被害者側に立って活動してきました。
東かがわをはじめ、この地域の道の特徴も、よく存じています。
この記事が、あなたとあなたの大切な人の、夕方の安全な行き帰りに役立てば幸いです。
そして、もし力が必要になったときには、どうか遠慮なくご相談ください。
