「足指の障害」(後遺障害12級12号)を交通事故の専門弁護士がわかりやすく解説

交通事故の後遺障害12級12号とは?
足指の障害をわかりやすく解説

交通事故専門の弁護士が、後遺障害等級12級12号「足指の障害」について、認定の条件・慰謝料の相場・申請のポイントまで、初心者にもわかりやすく解説します。


1. 後遺障害12級12号とは?

交通事故でケガを負い、治療を続けたにもかかわらず、完全に治りきらずに残ってしまった症状のことを「後遺障害」といいます。後遺障害にはその重さに応じて等級が定められており、12級12号は、足の指に一定の障害が残った場合に認定される等級です。

具体的には、片方の足の人差し指・中指・薬指・小指のうち、1本または2本の指に障害が残った場合が対象です。親指(第1指)は含まれません。親指に障害が残った場合は、別の等級が適用されます。

💡 ポイント

12級12号は、足の「親指以外」の指に障害が残ったケースが対象です。足の親指の障害には、より上位の等級が設定されています。

📖 用語解説:後遺障害等級とは?

後遺障害等級とは、交通事故による後遺症の重さを、1級(最も重い)から14級(最も軽い)までの段階で分類した制度です。この等級によって、受け取れる慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わります。等級の認定は、損害保険料率算出機構という第三者機関が行います。

2. 12級12号の認定条件を詳しく解説

12級12号が認定されるためには、片方の足の人差し指・中指・薬指・小指のうち、1本または2本の指が、以下のいずれかの状態に該当する必要があります。

条件①:足指を根元から失った場合

足の指を、その付け根の部分から失ってしまった状態をいいます。医学的には「中足指節関節(MTP関節)」から先が欠損した場合がこれに該当します。事故により足指を切断したケースや、壊死により切断せざるを得なくなったケースなどが考えられます。

📖 用語解説:中足指節関節(MTP関節)とは?

中足指節関節(ちゅうそくしせつかんせつ)とは、足の甲の骨と足指の骨がつながる関節のことです。足の指の付け根にある関節で、一般的に「指の根元」と呼ばれる部分にあたります。英語では Metatarsophalangeal joint と呼ばれ、略してMTP関節といいます。

条件②:足指の根元の関節から動かなくなった場合

足の指が根元の関節(中足指節関節)から完全に動かなくなった状態をいいます。医学用語では「強直(きょうちょく)」と呼ばれる状態です。骨折後の癒合不良や関節の変形、神経損傷などが原因で、指が全く曲がらなくなったケースがこれに該当します。

📖 用語解説:強直(きょうちょく)とは?

強直とは、関節が固まって全く動かなくなった状態のことをいいます。骨折や脱臼の後に関節周囲の組織が癒着したり、関節自体が変形したりすることで起こります。完全に動かない状態だけでなく、健康な側と比べてごくわずかしか動かない場合も含まれることがあります。

認定条件の一覧表

条件 対象となる指 本数
足指を根元から失った 人差し指・中指・薬指・小指
(親指を除く)
1本または2本
足指の根元の関節から動かなくなった 人差し指・中指・薬指・小指
(親指を除く)
1本または2本

3. 足指の障害が起きやすい事故のパターン【弁護士の経験談】

交通事故の専門弁護士として多くのケースを扱ってきた経験から、足指の障害がどのような事故で発生しやすいかについてお話しします。

駐車場での足の踏まれ事故が典型的

足指の障害は、歩行者が駐車場などで自動車に足を踏まれたという場合に多くみられます。駐車場内では車の速度が遅いため、歩行者の身体全体がはね飛ばされるのではなく、足元だけが被害を受けるケースが生じやすいのです。

たとえば、駐車スペースから発進しようとした車が、すぐそばを歩いていた歩行者の足を踏んでしまうようなケースです。運転者は低速だったから大したことないだろうと思いがちですが、自動車の重量は1トンを超えます。その重さが足の小さな指に集中すれば、骨折や神経損傷を引き起こし、後遺障害が残る重大なケガにつながることがあります。

道路上の事故では足指だけのケガは少ない

一方、道路を走行している自動車と歩行者が接触する事故の場合には、足指だけがケガをするケースはあまり多くありません。走行中の自動車がぶつかると、歩行者の身体全体がはね飛ばされてしまうため、足指という小さな部分だけではなく、腕(上肢)や脚(下肢)など、身体の大きな部分の障害につながることが多いのです。

車同士の事故でも足指の障害は起きにくい

また、自動車と自動車の接触事故の場合にも、足指だけがケガをすることはあまりありません。車同士の事故では、シートベルトで身体が固定されている状態で衝撃を受けるため、首の障害、とくにむち打ち症状が発生することが最も多くなります。

つまり、足指の後遺障害は、駐車場内での低速事故や、足元に何らかの物が落下・接触するといった、足元に限定的な力が加わる特殊な状況で生じやすいという特徴があるのです。

💡 弁護士からのアドバイス

「低速だったから大したケガではない」と保険会社から主張されることがありますが、足指のケガは速度に関係なく深刻な後遺障害に発展し得ます。軽く考えずに、早めに専門家に相談することが重要です。

4. 12級12号で受け取れる慰謝料・賠償金の相場

後遺障害12級12号が認定された場合、受け取れる主な賠償金には、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」があります。ただし、慰謝料の金額は、どの基準を使って計算するかによって大きく異なります。

3つの算定基準の違い

算定基準 12級の後遺障害慰謝料 特徴
自賠責基準 94万円 法律で定められた最低限の補償
任意保険基準 100万円前後 保険会社独自の基準(非公開)
弁護士基準
(裁判基準)
290万円 過去の裁判例に基づく基準。最も高額

ご覧のとおり、弁護士基準で計算した場合の慰謝料は290万円であり、自賠責基準の94万円と比べると約3倍もの差があります。保険会社は通常、自賠責基準や任意保険基準をもとに低い金額を提示してきます。弁護士に依頼することで、弁護士基準(裁判基準)での交渉が可能になります。

📖 用語解説:逸失利益とは?

逸失利益(いっしつりえき)とは、後遺障害が残ったことで、将来にわたって得られなくなった収入のことをいいます。後遺障害の等級、被害者の年齢、年収などをもとに計算されます。12級の場合、労働能力喪失率は14%とされており、この数字を使って逸失利益を計算します。

賠償金の総額の目安

12級12号が認定された場合、後遺障害慰謝料に加えて、逸失利益・治療費・通院交通費・休業損害・入通院慰謝料なども請求できます。これらを合計すると、ケースによりますが、数百万円から1,000万円を超える賠償金となることもあります。

5. 後遺障害等級の認定を受けるまでの流れ

後遺障害等級の認定を受けるためには、いくつかのステップを踏む必要があります。全体の流れを把握しておきましょう。

1

事故発生・治療開始

事故後、速やかに病院を受診し、治療を開始します。足指のケガの場合、整形外科を受診しましょう。

2

症状固定

医師が「これ以上治療を続けても症状が改善しない」と判断した時点を症状固定といいます。

3

後遺障害診断書の作成

症状固定後、主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。この診断書の内容が等級認定に大きく影響します。

4

等級認定の申請

診断書やレントゲン画像などの必要書類を添えて、損害保険料率算出機構に申請します。

5

認定結果の通知

通常1〜3か月程度で認定結果が届きます。結果に不服がある場合は、異議申立てが可能です。

📖 用語解説:症状固定とは?

症状固定とは、治療を続けてもこれ以上の回復が見込めない状態になったことをいいます。症状固定の時期は医師が判断しますが、保険会社が早い段階で治療費の打ち切りを求めてくることがあります。安易に応じず、医師と相談のうえ適切な時期に症状固定とすることが大切です。

6. 12級12号の認定で注意すべきポイント

後遺障害診断書の記載内容が重要

足指の障害で12級12号の認定を受けるためには、後遺障害診断書に障害の状態が正確に記載されていることが不可欠です。たとえば、足指を失った場合には欠損の範囲が明確に記載されている必要がありますし、関節が動かなくなった場合には、関節の可動域がどの程度制限されているかを数値で示す必要があります。

画像検査の結果を残しておく

レントゲンやCT、MRIなどの画像検査は、障害の状態を客観的に証明するための重要な証拠です。骨折の状態や関節の変形、欠損の範囲などが画像で確認できるよう、治療の過程で適切に検査を受け、その結果を保管しておきましょう。

「被害者請求」で申請するのがおすすめ

後遺障害の等級認定を申請する方法には、保険会社に手続きを任せる「事前認定」と、被害者自身が申請する「被害者請求」の2つがあります。被害者請求では、提出する書類を自分で選んでコントロールできるため、有利な資料を漏れなく提出できるメリットがあります。弁護士に依頼すれば、この被害者請求の手続きを代行してもらうことが可能です。

📖 用語解説:被害者請求と事前認定の違い

事前認定は、加害者側の任意保険会社が手続きを行う方法です。被害者の手間は少ないですが、保険会社が有利な資料を積極的に提出してくれるとは限りません。被害者請求は、被害者側が自ら必要書類を揃えて申請する方法です。手間はかかりますが、提出資料を自分でコントロールできるため、適正な等級が認定されやすくなります。

7. 弁護士に相談するメリット

足指の後遺障害で適正な補償を受けるためには、弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。弁護士に依頼する主なメリットは以下のとおりです。

慰謝料が大幅に増額する可能性がある

先述のとおり、弁護士基準(裁判基準)で交渉することで、後遺障害慰謝料が自賠責基準の約3倍になる可能性があります。12級の場合、自賠責基準の94万円に対し、弁護士基準では290万円です。この差額だけでも弁護士費用を十分にまかなえるケースがほとんどです。

適正な等級認定をサポートしてもらえる

弁護士は、後遺障害診断書の記載内容のチェックや、被害者請求に必要な書類の準備をサポートします。足指の障害に関する医学的な知識と法律の専門知識を活かして、適正な等級が認定されるよう働きかけます。

保険会社とのやり取りを任せられる

交通事故後、治療やリハビリを続けながら保険会社と交渉するのは、精神的にも体力的にも大きな負担です。弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉窓口を弁護士に一本化できるため、被害者の方は治療に専念できます。

8. まとめ

後遺障害12級12号は、片方の足の人差し指・中指・薬指・小指のうち1本または2本を根元から失った場合、または根元の関節から動かなくなった場合に認定される等級です。

足指の障害は、駐車場での足の踏まれ事故など、足元に限定的な力が加わる状況で起きやすいという特徴があります。低速事故であっても深刻な後遺障害につながり得るため、「軽い事故だから」と放置せず、適切な治療と後遺障害の申請手続きを行うことが大切です。

弁護士基準で交渉すれば慰謝料が大幅に増額する可能性があります。おひとりで悩まず、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

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