解決事例 12

後遺障害1級。裁判を回避して有利な和解で8000万円を獲得した事例

依頼のご相談内容
・正当な補償を獲得したい
・地元の弁護士に相談したい
・〇〇に納得できない
・正当な補償を獲得したい
・正当な補償を獲得したい
・正当な補償を獲得したい

交通事故で、ご家族が重い後遺障害を負ってしまったら。
将来の介護や治療、生活のことを考えると、不安は計り知れないものがあります。
この記事では、後遺障害等級1級という最も重い後遺障害が残った事故で、あえて裁判をせず、示談交渉によって合計8000万円の賠償金を獲得した実際の解決事例を紹介します。
なぜ裁判をしないほうが有利だったのか。
その判断の理由にこそ、重度後遺障害の事件を解決するための重要なポイントがあります。
順番にわかりやすく解説していきます。

1.事故の発生状況

被害者は、個人商店を経営している40代の男性でした。
真夜中に、幹線道路を横断していたところ、交通事故に遭いました。
事故当時、被害者の男性はお酒を飲んでいました。
そのため、被害者側の過失が否定できない状況でした。

事故のあと、男性は病院に搬送されました。
搬送された時点では、意識はありませんでした。
しばらくして意識は戻り、手足は動くようになりました。
しかし、意識障害が残ってしまいました。
簡単な言葉は理解できますが、会話をすることは難しく、意味のある行動ができなくなってしまったのです。

このように、脳へのダメージによって重い障害が残るケースは、交通事故のなかでも最も深刻な部類に入ります。
本人は働くことができなくなり、日常生活にも常に支えが必要になります。
賠償の金額も大きくなるため、保険会社との間で争いになりやすい類型です。

2.ご相談までの経緯

被害者の男性は、個人商店の経営者でした。
その男性が就労不能となってしまったのです。
収入の柱を失ったうえに、将来の介護や治療にもお金がかかり続けます。
将来の介護、治療や生活に不安を感じたご遺族の方から、当事務所に相談が寄せられました。

3.当事務所の弁護士が行った活動

弁護士が事件をお受けして検討したところ、この事件には、いくつもの難しい問題があることがわかりました。
1つずつ説明します。

3-1.成年後見のハードル

被害者ご本人は、意識障害のため、自分で契約や請求などの法律行為をすることが難しい状態でした。
そこで、ご本人に代わって財産を管理する人を立てるため、成年後見の手続きを行いました。

【用語解説】成年後見
判断能力が十分でない方のために、家庭裁判所が、本人に代わって財産管理や契約を行う後見人を選ぶ制度です。
重度の後遺障害が残った事件では、示談や裁判を進めるために、この手続きが必要になることがあります。

ところが、ここで壁にぶつかりました。
医師の診断では、意識があり、意思能力がないとはいえない、という診断結果が出たのです。
そのため、当初は、後見は難しい、という見解でした。
本人の状態と制度の要件との間で、手続きが簡単には進まない状況だったのです。

3-2.遠方の病院への転院

さらに、もう1つの事情がありました。
被害者の方は、最初に入った病院に3カ月入院したあと、奄美大島の病院に転院したのです。
遠方の病院に移ったことで、ご本人の状況が確認しにくくなりました。
損害額を計算するには、本人の症状や治療の状況を正確に把握する必要があります。
それが難しいため、なかなか請求を確定できない状況が続きました。

3-3.赤字決算の確定申告という問題

次の問題は、被害者の収入の証明でした。
被害者の経営していた個人商店は、確定申告をしばらく赤字で計上していました。
これは、賠償請求のうえで、大きな不利益につながりかねない事情です。

交通事故で働けなくなった損害は、事故前の収入を基礎に計算します。
その収入の証明資料として重視されるのが、確定申告書です。
もし裁判を起こした場合、加害者側からは、もともと赤字だから、交通事故によって営業上の損害は発生していない、という反論が出されることが予測されました。
この反論が裁判所に受け入れられてしまうと、休業損害や逸失利益が大きく削られるおそれがあります。

3-4.自治体の治療費補助のあつかい

加えて、もう1つ、専門的な論点がありました。
今回の事案のような高度な後遺症の場合、市町村役場に申請すれば、自治体から治療費の補助が出されていました。
この治療費の補助の性質が、裁判のうえでは、大きな論点となってくることが予測されたのです。

【用語解説】損益相殺
被害者が、事故をきっかけに何らかの給付やお金を受け取った場合に、その分を賠償金から差し引く考え方です。
公的な給付を受けていると、加害者側から、その分は賠償額から引くべきだ、と主張されることがあります。
どの給付が差し引きの対象になるかは、専門的な判断が必要な難しい問題です。

もし裁判で、将来の治療費についても補助が出るはずだから賠償は不要だ、という方向の判断がされてしまうと、被害者の受け取れる金額は大きく減ってしまいます。

3-5.裁判ではなく和解交渉を選択

以上のように、この事件には、過失の問題、赤字決算の問題、自治体補助の問題、という複数のリスクがありました。
どれも、裁判になった場合に、被害者側に不利にはたらくおそれのあるものです。
以上を踏まえて、弁護士は判断しました。
この交通事故事件は、裁判ではなく、和解交渉で解決したほうが、被害者にとって有利な結果になるだろう、という判断です。

裁判は、必ずしも被害者に有利な手段とはかぎりません。
事案の弱点をふまえて、あえて裁判を避ける、という選択が最善になることもあるのです。

4.当事務所が関与した結果

4-1.自治体の補助金のあつかい

まず、自治体の補助金に関する交渉です。
すでに支給された公的扶助の分については、賠償額からの控除を認めました。
その一方で、将来については、補助はないものとして請求を組み立てました。
その結果、将来発生する分の保障を認めさせることができました。
過去の分は譲り、将来の分を確保する、というメリハリのある交渉です。

4-2.確定申告への対応

確定申告の問題については、交通事故が発生した年度の確定申告書を、黒字決算で提出してもらいました。
事故のあった年の営業の実態を、きちんと申告に反映させたのです。
これによって、商店の営業には利益があった、という事実を示し、もともと赤字だから損害はない、という反論を封じる備えをしました。

4-3.過失割合の交渉

争点であった過失割合については、厳しい交渉になりました。
被害者が飲酒していた背景を加害者側の代理人に指摘され、加害者50パーセント、被害者50パーセント、という主張をされたのです。

【用語解説】過失相殺
被害者にも落ち度がある場合に、その割合の分だけ賠償金を減額することです。
たとえば損害額が1億円で被害者の過失が50パーセントなら、受け取れるのは5000万円になります。
損害額が大きい事件ほど、過失割合が数パーセント違うだけで、金額が何百万円も変わります。

これに対して、当事務所は、加害者60パーセント、被害者40パーセント、という割合を主張して交渉しました。
最終的には、ご遺族の感情も加味した結果、被害者の過失は35パーセントで決着がつきました。
当初の相手方の主張よりも、被害者側の過失を15ポイント引き下げることができたのです。

4-4.合計8000万円の獲得

金額の面では、まず、自賠責保険から4000万円を受け取っていました。
この4000万円という金額は、介護を要する後遺障害1級に対する自賠責保険の上限額です。
つまり、自賠責の枠は満額を確保できていたことになります。
これに加えて、任意保険会社から、さらに4000万円を受け取りました。
合計で8000万円を獲得することができたのです。

5.解決のポイント

5-1.将来の入院費を損害の柱に

今回の解決の最大のポイントは、将来の医療費でした。
被害者の方の状態であれば、普通は、自宅介護となるところです。
ただ、この件の場合、被害者には呼吸に問題がありました。
そのため、自宅介護が不可能な状態だったのです。
そこで、自宅介護ではなく、今後、継続的に病院に入院するという前提で、損害賠償請求を組み立てました。
つまり、将来にわたる入院費を、損害として計算したのです。
重度の後遺障害の事件では、この、将来の介護や入院にかかる費用が、賠償額の大きな柱になります。
どのような前提で将来の費用を組み立てるかによって、賠償額は大きく変わってくるのです。

5-2.裁判を避けるという柔軟な判断

今回の事件には、3つの不利な事情がありました。
飲酒による過失割合の問題。
赤字決算で確定申告をしていた、という問題。
そして、地方自治体の出している治療費の補助のあつかい、という問題です。
裁判をした場合には、これらの点で、被害者にとって不利な結論となってしまうことが予測されました。

ですので、弁護士としては、裁判を回避して、なるべく被害者が有利になるように、和解交渉で解決をはかりました。
弁護士の知識と経験にもとづいた柔軟な判断によって、被害者の方は、早期に、有利な結果を得ることができたと思います。

裁判をすれば必ず金額が上がる、というものではありません。
事案ごとの強みと弱みを見きわめて、最適な解決手段を選ぶこと。
それこそが、交通事故を専門的に扱う弁護士の腕の見せどころです。

6.まとめ

今回の事例のポイントを、あらためて整理します。

飲酒しての深夜の道路横断中という、過失を争われる事故で、被害者に意識障害という重い後遺障害が残りました。
成年後見のハードル、遠方への転院、赤字決算の確定申告、自治体補助のあつかいなど、難しい問題が重なった事件でした。
弁護士は、裁判では不利になるリスクを見きわめて、和解交渉での解決を選択しました。
呼吸の問題から自宅介護ができないという事情をふまえ、将来の入院費を損害の柱として請求を組み立てました。
過失割合は、相手方主張の50パーセントから35パーセントまで引き下げました。
その結果、自賠責保険の4000万円とあわせて、合計8000万円の賠償金を獲得できました。

重度の後遺障害が残る事件は、損害の項目も多く、争点も複雑になります。
だからこそ、解決の方針しだいで、結果が大きく変わります。
ご家族が重い後遺障害を負ってしまったときは、できるだけ早く、交通事故にくわしい弁護士に相談してください。

選ばれる理由01
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保険会社の最初の示談案には注意が必要です。弁護士として多くの交通事故を扱ってきた経験上、約90%のケースで弁護士が交渉することにより示談額を増額できます。
そのままサインするのは危険です。
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選ばれる理由02
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選ばれる理由03
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後遺障害の等級認定手続は、法律の知識以外に医療の知識も必要です。
弁護士吉田泰郎は,後遺障害の等級認定について、法律事務所以外の外部の専門家と連携関係をもっており、整形外科医療などの交通事故医療に関する研修会にも積極的に参加しています。

選ばれる理由04
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保険会社提示3000万円→8800万円など、これまで多くの増額実績があります。後遺障害の認定から慰謝料の算定まで丁寧に見直し、お客様が納得できる金額を受け取れるよう、親身になってサポートいたします。