解決事例 19

2か月で示談金800万円から2000万円に大幅アップした事例

依頼のご相談内容
・正当な補償を獲得したい
・地元の弁護士に相談したい
・〇〇に納得できない
・正当な補償を獲得したい
・正当な補償を獲得したい
・正当な補償を獲得したい

交通事故の示談交渉で、弁護士が介入してからわずか2か月で、示談金が800万円から2000万円に増額された事例をご紹介します。
増額幅は、なんと1200万円です。
なぜ、こんなに大きな差が生まれたのでしょうか。
この記事では、実際の解決事例をもとに、保険会社の示談提案にひそむ落とし穴と、弁護士に依頼する意味について、くわしく解説します。
交通事故にあわれた方、いま保険会社から示談案を提示されている方は、ぜひ最後までお読みください。

1.事故の発生状況

被害者の方は、通勤の途中でした。
自転車に乗って、大きな道路に設置された歩道を走行していました。
交差点に差し掛かったところで、突然、自動車が飛び出してきました。
被害者の方は、自動車にはねられてしまいました。
事故の瞬間、被害者の方は気を失ってしまうほどの強い衝撃を受けたとのことです。
このように、自転車と自動車の事故では、生身の自転車側が大きなけがを負うことがほとんどです。
被害者の方は、手術が必要なほどの大けがを負いました。
1か月以上の入院を経て、その後も約11か月にわたって通院を続けました。
それでも、けがは完全には治りませんでした。
治療を終了した後、後遺障害等級11級の後遺障害が認定されました。

【用語解説】後遺障害等級
交通事故で治療を続けても治りきらなかった症状を、後遺障害といいます。
後遺障害は、重い順に1級から14級までの等級に分けられます。
等級が認定されると、後遺障害慰謝料や逸失利益という賠償金を請求できるようになります。

2.弁護士に相談したきっかけ

ここで、交通事故の解決までの、おおまかな流れを確認しておきましょう。
交通事故にあうと、まず、けがの治療を行います。
治療を続けても、これ以上はよくならない、という状態になることを、症状固定といいます。
症状が残っている場合は、症状固定の後に、後遺障害の等級認定の手続を行います。
等級が決まると、保険会社から、示談金の提案が届きます。
この提案に合意すれば、示談が成立し、事件は終了となります。
つまり、示談案が届いた段階は、金額が決まる直前の、とても重要な場面なのです。
今回の被害者の方も、この流れに沿って、手続を進めていました。
治療が終わり、後遺障害等級11級の認定を受けると、保険会社から示談案が届きました。
被害者の方は、示談案を見て、疑問に思いました。
そこで、保険会社の担当者に、これでいいのですか、と質問をしました。
すると、保険会社の担当者からは、こんな返事しかありませんでした。
こんなもんです。
みなさん、これでやっています。
これでは、何の説明にもなっていません。
被害者の方は、金額を争いたい、という気持ちが最初からあったわけではありません。
正しいと思える金額であれば、それで示談するつもりでした。
しかし、こんな説明では、示された金額が正しいのかどうか、判断のしようがありません。
納得できなかった被害者の方は、弁護士に相談することを決めました。
実は、この、納得できないから専門家に確認してもらう、という判断が、後に1200万円の差を生むことになります。

3.弁護士が発見した示談案の問題点

ご依頼を受けた弁護士は、まず、保険会社が出してきた示談案を細かくチェックしました。
すると、示談案には、さまざまな問題点があることがわかってきました。
とくに大きな問題は、次の2つでした。
一つ目は、傷害慰謝料が少なすぎることです。
二つ目は、後遺障害の逸失利益が少なすぎることです。
それぞれ、くわしく見ていきましょう。

3-1.問題点その1 傷害慰謝料が少なすぎる

傷害慰謝料とは、けがをしたこと、入院や通院を続けたことによる精神的な苦痛に対する賠償金です。

【用語解説】傷害慰謝料
けがの治療のために入院や通院をしたことについて支払われる慰謝料です。
入通院慰謝料と呼ばれることもあります。
入院や通院の期間が長いほど、金額は大きくなります。

被害者の方は、1か月以上入院し、約11か月も通院していました。
これに対して、保険会社が提案してきた傷害慰謝料は、80万円でした。
弁護士は、この金額を見て、少なすぎる、と判断しました。
なぜなら、弁護士基準で計算した場合の半分以下の金額だったからです。

【用語解説】弁護士基準
慰謝料の計算基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。
自賠責基準は、最低限の補償のための基準で、金額は最も低くなります。
任意保険基準は、保険会社が社内で決めている基準です。
弁護士基準は、過去の裁判例をもとにした基準で、裁判基準とも呼ばれ、3つの中で最も高額になります。
弁護士が交渉する場合は、この弁護士基準で請求します。

保険会社は、自社の基準で計算した低い金額を提案してくるのが通常です。
これは、この事例に限った話ではありません。
どの保険会社でも、最初の提案は低めの金額であることがほとんどです。
弁護士は、弁護士基準にもとづいて、傷害慰謝料は190万円を請求するべきだ、と考えました。
80万円から190万円への増額請求は、少し大胆に思われるかもしれません。
しかし、のちに、保険会社は、この190万円に同意することになるのです。
つまり、190万円という金額は、決して無理な請求ではなく、法的な根拠のある正当な金額だった、ということです。

3-2.問題点その2 逸失利益の計算にカラクリがあった

もう一つの、そして最大の問題点は、後遺障害の逸失利益でした。
逸失利益とは、将来の休業損害だと考えてください。

【用語解説】逸失利益
後遺障害が残ったことで、将来の仕事に支障が出て、収入が減ってしまう部分に対する賠償金です。
基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間という3つの要素をもとに計算します。
計算方法がむずかしいため、金額の争いが起こりやすい項目です。

この逸失利益について、保険会社は500万円と提案してきていました。
しかし、弁護士の目はごまかされません。
保険会社が、保険会社にとって有利な計算方法をとっているのではないか、と疑ったのです。
弁護士が調査してみたところ、疑いは的中しました。
保険会社は、ウソだとまではいえないものの、法律的には正しくない計算方法で金額を出していたのです。
弁護士が正しく計算し直したところ、逸失利益は2000万円になりました。
500万円と2000万円。
実に4倍もの差です。
保険会社が500万円だと言っていた金額が2000万円になるのですか、と、被害者の方は、とても驚かれました。

3-3.保険会社の計算は何が間違っていたのか

少し専門的な話になりますが、できるだけわかりやすく説明します。
逸失利益の計算では、まず、基礎収入というものを決めます。

【用語解説】基礎収入
逸失利益を計算するときの、もとになる収入額のことです。
原則として、事故前の実際の年収を使います。
収入の資料がない場合などには、平均賃金という統計上の数字が使われることがあります。

逸失利益は、おおまかにいうと、次のような考え方で計算します。
基礎収入に、労働能力喪失率をかけ、さらに、労働能力喪失期間に応じた係数をかける、という計算です。
労働能力喪失率とは、後遺障害によって、仕事の能力がどれくらい落ちたか、を割合で表したものです。
喪失率は、後遺障害の等級ごとに、目安が定められています。
等級が重いほど、喪失率は高くなります。
この計算式からわかるとおり、基礎収入と労働能力喪失期間の2つは、逸失利益の金額を大きく左右する要素です。
そして、今回の事例では、まさにこの2つに、問題があったのです。
保険会社は、当初、女性の全年齢平均賃金を基礎収入として計算していました。
しかし、弁護士が確認したところ、被害者の方の実際の収入は、女性の全年齢平均賃金よりも、かなり多かったのです。
基礎収入が大きくなれば、逸失利益も大きくなります。
さらに、もう一つの問題がありました。
労働能力喪失期間です。

【用語解説】労働能力喪失期間
後遺障害の影響で、仕事の能力が落ちた状態が続くと考えられる期間のことです。
原則として、症状固定のときから、就労可能とされる67歳までの期間で計算します。
この期間が長いほど、逸失利益は大きくなります。

保険会社は、労働能力喪失期間を、わずか7年で計算していました。
しかし、今回の後遺障害の内容からすれば、もっと長い期間を基礎とするべきものでした。
そこで、弁護士は、被害者の方の実際の収入を基礎収入とし、さらに長い労働能力喪失期間をもとに、請求を行いました。
その後の交渉の中で、意外な事実が判明しました。
保険会社は、被害者の方の実際の年収に関する資料を、そもそも入手していなかったのです。
資料がないので、女性の全年齢平均賃金を使って、逸失利益を計算していた、というわけです。
つまり、保険会社は、事実の確認という基本的な作業を省略して、手抜きの示談案を提示していたのです。

4.あえて裁判をしなかった理由

保険会社の提案は、正しくないものでした。
それなら、すぐに裁判を起こせばよい、と思われるかもしれません。
しかし、弁護士には、悩ましい点がありました。
被害者の方の側にも、裁判になると弱いと思われる部分があったからです。
それは、治療期間が長かったわりに、実際に通院した日数がかなり少なかった、という点です。
もし裁判になれば、相手方の弁護士から、こんな反論をされる可能性があります。
そんなに通院した日数が少なかったのであれば、けがは、もっと早く治っていたのではないですか。
この反論が認められてしまうと、慰謝料などの金額が減らされてしまうおそれがあります。
裁判には、時間がかかる、というデメリットもあります。
交通事故の裁判は、解決までに1年以上かかることも、めずらしくありません。
そのため、弁護士は、今回の事件については、裁判よりも示談交渉で解決するのが適切である、と判断しました。
このように、もし裁判を起こした場合のデメリットまで考えたうえで、裁判をするかどうかを決めるのが、弁護士の仕事です。
裁判をすれば必ず増額する、というものではありません。
事件ごとの事情を見きわめて、依頼者にとって最も有利な解決方法を選ぶことが大切なのです。

4-1.この事例から学べる通院の大切さ

この事例には、これから治療を受ける方への教訓もふくまれています。
それは、通院を軽視してはいけない、ということです。
仕事や家庭の事情で、なかなか通院できない、という方は少なくありません。
痛みをがまんして、通院の回数を減らしてしまう方もいます。
しかし、通院日数が少ないと、後になって、けがは軽かったのではないか、と疑われる材料になってしまうことがあります。
慰謝料の金額にも、影響が出るおそれがあります。
症状があるうちは、医師の指示にしたがって、きちんと通院を続けることが大切です。
これは、体を治すためにも、適正な賠償を受けるためにも、重要なことなのです。

5.解決の結果 2か月で1200万円の増額

弁護士は、以上の方針にもとづいて、保険会社との交渉を進めました。
その結果、交渉期間わずか2か月ほどで、被害者の方の満足のいく結果を出すことができました。
示談金は、800万円から2000万円にアップしました。
なお、この2000万円は、その時点で保険会社がすでに支払っていた既払金をのぞいた、最終の支払金額です。

【用語解説】既払金
示談が成立する前に、保険会社がすでに支払ったお金のことです。
治療費や休業損害の一部などが、これにあたります。
最終的な示談金の話をするときは、既払金をのぞいた金額かどうかを確認することが大切です。

弁護士が交渉したことで、示談金は1200万円も増加しました。
裁判をせずに、短期間で、これだけの増額を実現できたのです。

6.今回の解決のポイント

弁護士が受任してから約2か月という短い期間で、1200万円の増額ができたことは、成功と言ってよいと思います。
今回の解決のポイントは、弁護士が、保険会社の提案してきた逸失利益のカラクリを見抜いたことです。
逸失利益は、少しむずかしい計算方法を使います。
その分だけ、保険会社がごまかす余地がある、ともいえる部分なのです。
被害者の方が自分だけで示談案を見ても、計算方法の問題点に気づくことは、まず不可能でしょう。
また、今回の事例では、保険会社が、被害者の方の実際の収入を確認しないまま、示談案を作っていたことがわかりました。
つまり、保険会社は、少々、手抜きをして示談の提案をしてきた、ということです。
有名な大手の保険会社であっても、現場の担当者が、事実を確認せずに、手抜きの示談提案をしてくることがあります。
くれぐれも、安易に保険会社を信用してはいけない、ということを、心にとめておいてください。

7.同じ状況にある方へのアドバイス

最後に、この事例から学べる教訓を、3つにまとめます。
一つ目は、保険会社の示談案に、すぐにサインをしないことです。
一度、示談書にサインをしてしまうと、あとから金額に不満があっても、やり直すことは原則としてできません。
少しでも疑問を感じたら、サインの前に、必ず専門家に確認してもらいましょう。
二つ目は、説明に納得できないときは、そのままにしないことです。
今回の被害者の方は、こんなもんです、という説明に納得せず、弁護士に相談しました。
その行動が、1200万円の増額につながりました。
納得できない、という感覚は、大切にするべきサインです。
三つ目は、後遺障害が残った事案こそ、弁護士への相談を検討することです。
後遺障害の逸失利益は、金額が大きく、計算もむずかしいため、保険会社との差が生まれやすい項目です。
等級が認定された方は、示談の前に、一度、弁護士のチェックを受けることを、強くおすすめします。
多くの法律事務所では、交通事故の相談を無料で受け付けています。
また、ご自身やご家族の保険に弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用の負担なく依頼できる場合もあります。

【用語解説】弁護士費用特約
自動車保険などに付けられる特約で、弁護士に依頼するときの費用を保険会社が負担してくれるものです。
多くの場合、300万円程度までの弁護士費用が補償されます。
ご自身の保険だけでなく、ご家族の保険に付いている特約を使える場合もあります。
特約を使っても、保険の等級は下がらないのが一般的です。

保険会社の担当者は、被害者の味方ではありません。
あくまでも、支払う側の立場で示談案を作っている、ということを忘れないでください。
今回の事例のように、専門家がチェックするだけで、示談金が大きく変わることは、決してめずらしいことではありません。
保険会社の提示額が正しいのかどうか、まずは確認することから始めてみてください。
その一歩が、あなたの正当な権利を守ることにつながります。

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