症状固定前から受任。後遺障害等級12級を獲得した事例

交通事故のケガの治療を続けているのに、なかなか良くならない。
保険会社から治療費を打ち切られるのではないか、と不安になっていませんか。
この記事では、症状固定の前の治療段階から弁護士が受任して、最終的に後遺障害等級12級を獲得した実際の解決事例を紹介します。
症状固定とは何か、後遺障害の等級で賠償金がどう変わるのか、という点も、あわせてわかりやすく解説します。
いま治療中で今後に不安を感じている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
1.事故の発生状況
被害者の方は、交通事故によって、手と足にケガをしました。
手は、指が曲がりにくい、という状態でした。
足は、膝に痛みがあり、膝に水がたまるため、継続的に水を抜かなければならない、という状態でした。
どちらの症状も、日常生活や仕事に大きな影響のあるものでした。
2.ご相談までの経緯
交通事故の発生から半年が経過した段階で、被害者の方が当事務所にご相談に来られました。
被害者の方は、事故のあと、継続して治療を続けてきました。
しかし、交通事故によるケガが、なかなか回復しない、という状況でした。
このまま治療を続けられるのか、治らなかったらどうなるのか。
被害者の方は、今後の展開を不安に感じていました。
実は、この、事故から半年、というタイミングでの相談は、とても重要な意味を持っていました。
なぜなら、交通事故から半年程度治療を続けていると、保険会社から治療費を打ち切られてしまう可能性が出てくるからです。
保険会社は、治療が長引いてくると、そろそろ症状固定ではないですか、と言って、治療費の支払いを終わらせようとしてくることがよくあるのです。
これ以上治療を続けても、大きな改善が見込めない状態になったことをいいます。
症状固定になると、保険会社が支払う治療費は、そこで終了します。
症状固定のあとに残った症状は、後遺障害として、別枠で賠償を請求していくことになります。
症状固定のタイミングは、その後の賠償金額を大きく左右します。
だからこそ、このタイミングで弁護士に相談できたことが、あとで大きな意味を持つことになります。
3.当事務所の弁護士が行った活動
3-1.治療を続けるか、症状固定にするか
ご相談を受けた弁護士は、まず最初に、今後の方針を被害者の方と一緒に検討しました。
この時点で選択できる方針は、2つありました。
1つ目は、現時点で症状固定をして、後遺障害の等級認定を受ける、という方針です。
2つ目は、治療費を打ち切られるリスクはあるが、治療を継続させる、という方針です。
どちらの方針にも、一長一短があります。
早めに症状固定をすれば、賠償の手続きを早く進められます。
しかし、まだ治る可能性があるのに治療をやめてしまうことになるかもしれません。
逆に、治療を続ければ、回復の可能性を追求できます。
しかし、保険会社に治療費の支払いを打ち切られるリスクを負うことになります。
被害者の方の希望は、はっきりしていました。
現時点では、まだ完全に治る可能性もあると思うので、症状固定をしたくない、というご要望でした。
弁護士は、このご希望を尊重しました。
そして、治療費を打ち切られるリスクはあるが、治療を継続させる、という方針を選択したのです。
3-2.治療費を打ち切らせないための交渉
方針が決まったところで、当事務所が正式に受任しました。
そして、保険会社に対して、治療費を払い続けるように交渉をしました。
治療の必要性を保険会社に伝えて、支払いの継続を求めていく活動です。
当初は、保険会社が半年で治療費を打ち切ってくるのではないか、と心配していました。
しかし、さいわい、治療費の打ち切りはありませんでした。
最終的に、交通事故から一年と数カ月が経過して症状固定するまで、治療費を払い続けてもらうことができたのです。
3-3.仮払金の請求で生活の困窮を救済
治療を継続する中で、もう1つの深刻な問題が起きていました。
被害者の方は、交通事故の影響で職に就くことができませんでした。
そのうえ、治療費もかさんでいました。
そのため、一時的に生活が困窮してしまったのです。
交通事故の賠償金は、原則として、すべての損害が確定したあと、示談のときにまとめて支払われます。
しかし、それでは、目の前の生活費に困っている被害者は救われません。
そこで弁護士は、保険会社と交渉をして、賠償金の一部を先に支払ってもらう、仮払金の請求を行いました。
示談が成立する前に、賠償金の一部を先に支払ってもらうお金のことです。
治療が長引いて収入が途絶えたときなど、被害者の当面の生活費を確保するために請求します。
保険会社との交渉によって支払われるもので、必ず支払われるとはかぎりません。
生活費に困る場面は複数ありました。
そのため、仮払金も何度か請求をしていました。
保険会社からは、これ以上では払いすぎになる可能性がある、と言われて、何度か支払いを渋られました。
しかし、それでもあきらめませんでした。
弁護士がねばり強く交渉を継続した結果、仮払金を獲得することができました。
こうして、被害者の方の生活の困窮を救済することができたのです。
4.当事務所が関与した結果
4-1.まず手について14級が認定
症状固定のあと、後遺障害の等級認定の手続きに進みました。
後遺障害の認定については、先に手の部分について申請を行いました。
その結果、手については、14級が認定されました。
治療をしても残ってしまった症状について、その重さを1級から14級までに分類したものです。
1級がいちばん重く、14級がいちばん軽い等級です。
認定された等級によって、後遺障害の慰謝料や逸失利益の金額が大きく変わります。
4-2.足はなぜ12級を目指したのか
次に、足の後遺障害認定の申請を行いました。
ここで、弁護士は、明確な目標を立てました。
足については、14級ではなく、12級の獲得を目指す、という目標です。
なぜでしょうか。
実は、後遺障害の等級には、併合、というルールがあります。
13級以上の後遺障害等級の場合には、複数の箇所で等級認定がされれば、複数を併合して、上位の等級に繰り上がる、ということがあります。
しかし、14級の場合には、いくつ認定されても、等級が繰り上がることはありません。
つまり、手と足の2カ所に14級が認定されても、全体としては14級のままなのです。
これでは、2カ所目の認定を受ける意味がほとんどありません。
だからこそ、足については、14級ではなく、12級という上の等級を狙う必要があったのです。
後遺障害が体の複数の場所に残ったときに、複数の等級をあわせて、全体の等級を決めるルールです。
たとえば、13級以上の後遺障害が2つ以上あると、重いほうの等級が1つ繰り上がります。
ただし、14級は、複数あっても繰り上がらず、14級のままとされています。
4-3.12級獲得のための徹底した準備
12級と14級では、認定のハードルが大きく違います。
たとえば、痛みなどの神経症状の場合、14級は、症状の存在が医学的に説明できれば認定される可能性があります。
これに対して、12級は、レントゲンやMRIなどの画像といった、他覚的な所見によって症状を証明できることが求められます。
つまり、12級をとるためには、症状を客観的に裏付ける証拠を、しっかり揃える必要があるのです。
そこで、弁護士は、ケガの症状を証明する詳しい資料を揃えました。
さらに、主治医に医療照会を行って、後遺障害診断書を詳しく書いてもらいました。
症状固定のときに残っている症状を、主治医に書いてもらう診断書です。
後遺障害の等級認定は、この診断書の記載内容を中心に、書面で審査されます。
記載が不十分だと、実際より低い等級になったり、認定されなかったりすることがあります。
こうした準備に、半年程度の時間を掛けました。
その結果、最終的に、足について12級の等級を獲得することができました。
被害者の方にも、大変喜んでいただくことができました。
5.解決のポイント
この事例の最大のポイントは、症状固定前の治療段階からご相談をお受けできたことです。
そのおかげで、症状固定のタイミングや、後遺障害申請の時期について、こちらが主導権をにぎって交渉することができました。
もしも、症状固定後に相談を受けたケースだと、どうなっていたでしょうか。
症状固定の時期について、病院や保険会社と交渉をすることは、もうできません。
治療の打ち切りに対抗することも、仮払金で生活を支えることも、できなかったかもしれません。
症状固定してしまってからだと、保険会社と交渉をするにあたって、選択肢が限られてきてしまうのです。
今回のケースは、症状固定前にご相談をいただきました。
だからこそ、弁護士が自由に活動することができ、被害者の方の希望に沿った方針を実現できました。
なるべく、治療の段階から、交通事故にくわしい弁護士にご相談されることがのぞましいです。
6.等級が変われば賠償金も大きく変わる
最後に、なぜ弁護士が12級にこだわったのか、賠償金の面からも補足します。
後遺障害が認定されると、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できるようになります。
弁護士基準では、後遺障害慰謝料の目安は、14級で110万円程度、12級で290万円程度とされています。
慰謝料だけでも、大きな差があることがわかります。
後遺障害のせいで働く能力が下がり、将来の収入が減ってしまう分の損害のことです。
等級ごとに決められた労働能力喪失率をもとに計算します。
目安として、14級では5パーセント、12級では14パーセントの喪失率が使われることが多いです。
逸失利益の面でも、12級と14級では、計算の基礎となる喪失率が大きく違います。
さらに、認められる喪失期間も、14級より12級のほうが長くなる傾向があります。
つまり、等級が2つ違うだけで、受け取れる賠償金の総額は、何倍も変わってくることがあるのです。
適切な等級の獲得を目指す活動には、それだけの価値があります。
7.まとめ
今回の事例のポイントを、あらためて整理します。
手と足にケガを負った被害者の方が、事故から半年の時点で、症状固定の前にご相談に来られました。
被害者の方の、まだ治療を続けたい、という希望を尊重して、治療継続の方針をとりました。
弁護士が交渉した結果、治療費の打ち切りはなく、事故から一年数カ月後の症状固定まで治療を続けられました。
生活の困窮に対しては、仮払金をねばり強く請求して、当面の生活費を確保しました。
後遺障害は、手に14級、足に12級が認定されました。
14級は複数あっても繰り上がらない、という併合のルールをふまえて、足については最初から12級を狙った戦略が実を結びました。
交通事故のケガの治療中で、今後に不安のある方は、症状固定の前に、弁護士に相談してください。
症状固定の前であれば、治療費の交渉も、症状固定のタイミングの判断も、後遺障害申請の準備も、打てる手がたくさんあります。
早めの相談が、納得のいく解決への近道です。

保険会社の最初の示談案には注意が必要です。弁護士として多くの交通事故を扱ってきた経験上、約90%のケースで弁護士が交渉することにより示談額を増額できます。
そのままサインするのは危険です。
特に後遺障害・死亡・植物状態・寝たきりなど被害が大きいケースでは、弁護士に相談せずに示談すると何千万円もの損失につながる可能性があります。

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弁護士吉田泰郎はこれまで1,325件の交通事故相談を手がけてきました。
死亡事故や重度後遺障害、後遺障害等級の認定争いなど、あらゆる種類の交通事故に対応してきた豊富な実績があります。その経験にもとづいた価値の高いアドバイスが、初回相談料無料で受けられるのは大きなメリットといえるでしょう。
