交通事故の被害にあったあと、多くの方が最初につまずくのは、保険会社から届く書類と、お金の話です。
示談、慰謝料、休業損害。
聞き慣れない言葉が、次々に出てきます。
このページは、さぬき市とその周辺にお住まいの方に向けて、地元の交通事故の状況、被害者の方からよくいただくご相談、そして実際の解決事例を、弁護士の視点からまとめたものです。
特に、保険会社から届く示談の提案書の読み方と、慰謝料のしくみについて、くわしく解説します。

1.さぬき市の紹介

さぬき市は、香川県の東部にあります。
瀬戸内海に面しており、志度湾、津田湾という港があります。
南には、香川県と徳島県との境界があり、標高500メートルから790メートルほどの讃岐山脈の一部が連なっています。
さぬき市は、2002年(平成14年)の、いわゆる平成の大合併によって成立した、新しい市です。
それまで存在していた、津田町、大川町、志度町、寒川町、長尾町が新設合併しました。
市庁舎は、旧志度町に置かれています。
さぬき市という名称は、香川県の旧国名である讃岐(さぬき)の発音に由来しています。
2021年現在の人口は、4万6493人となっています。

2.さぬき市の交通事故発生状況

2-1.事故件数は急速に改善しています

さぬき市の交通事故発生は、近年、急速に改善しています。
2015年までは、交通事故発生件数は、年間300件から400件で推移していました。
ところが、2016年に、300件以下となり、年間276件となりました。
その後、2017年には264件、2018年には208件、2019年には151件、2020年には109件となっています。
5年間で、事故件数がおよそ3分の1になった計算です。
さぬき市の交通事故発生状況は、数字のうえで、明らかに改善傾向にあります。

2-2.死亡事故ゼロを達成しました

さぬき市の死亡事故件数は、毎年、1桁の人数で推移していました。
そして、令和2年には、はじめて、死亡事故件数が0件となりました。
これは、とても名誉なことです。
これからも、さぬき市で、交通事故により死亡する人が0人のままであってほしいと思います。
ただし、死亡事故が0件でも、けがをする事故は、年間100件以上起きています。
事故にあったとき、どう行動すればよいか。
それを知っておくことは、さぬき市の方にとっても、決して無駄にはなりません。

3.さぬき市の被害者からの法律相談(1)…示談の提案の内容が分かりません

3-1.ご相談の内容

交通事故の被害を受けて、病院で通院治療をしていました。
6か月ほど治療をしました。
このたび、保険会社から、示談の提案という文書が送られてきました。
しかし、難しい言葉ばかり書かれており、私には、意味が良く分かりません。
保険会社に聞いてみましたが、内容を説明してもくれません。
どうしたらいいでしょうか。

3-2.弁護士の回答

示談の提案という文書には、今回の交通事故によって発生した損害について、具体的に何円を支払います、という提案が書かれています。
ただし、保険会社から最初に提案された金額は、疑ってかかった方がよいです。
保険会社は、支払い金額を少なくするために、低い金額での提案をしてくることがあるからです。
保険会社の提案が、正しいものであるのかは、専門の弁護士に相談するのがよいと思います。
交通事故に詳しい弁護士であれば、保険会社が出してきた示談の提案という文書を読み込んで、金額が正しいものかどうかを教えてくれます。

【用語解説】示談(じだん)
裁判をせずに、話し合いによって、賠償金の金額を決めて事件を解決することです。
お互いが合意して示談が成立すると、その内容に、法律上の拘束力が生まれます。

3-3.示談の提案書には、何が書かれているのか

示談の提案書には、損害の項目ごとに、金額が並んでいます。
主な項目は、次のとおりです。
治療費は、病院に支払った治療の費用です。
通院交通費は、病院に通うためにかかった電車代やガソリン代です。
休業損害は、けがのために仕事を休んで、収入が減った分の補償です。
傷害慰謝料(通院慰謝料)は、けがをして痛い思いをしたこと、通院の負担がかかったことへの補償です。
そして、すでに保険会社が病院へ支払った治療費などを差し引いた、最終的な支払額が、一番下に書かれています。
ここで注目してほしいのは、慰謝料と休業損害の欄です。
治療費や交通費は、実際にかかった金額なので、争いになりにくい項目です。
一方、慰謝料と休業損害は、計算の基準しだいで金額が変わる項目です。
保険会社の提案が低くなりやすいのは、まさにこの部分なのです。

3-4.なぜ、最初の提案は低いのか

なぜ、保険会社は、低い金額を提案してくるのでしょうか。
それは、慰謝料の計算に、複数の基準があるからです。
保険会社は、自社の内部の基準(任意保険基準)で計算した金額を提案してきます。
これは、裁判所が使う基準(裁判基準)よりも、低く設定されているのが通常です。
保険会社は、営利企業です。
支払う金額が少ないほど、会社の利益は増えます。
ですから、低い基準で提案すること自体は、保険会社にとっては、通常の業務なのです。
被害者を個人的にだまそうとしているというより、そういう仕組みになっている、と理解してください。
そして、仕組みである以上、こちらも仕組みで対抗できます。
裁判基準にもとづいて計算し直せば、金額が上がる余地があるかどうかが分かるのです。

3-5.じつは、一番大事なことは、示談はやり直せない、ということです

この相談で、一番お伝えしたいことがあります。
示談は、一度成立すると、原則として、やり直しができません。
示談書や免責証書(めんせきしょうしょ)という書類にサインをして返送すると、その金額で解決したことが、確定してしまいます。
あとから、金額が低すぎたと気づいても、原則として、追加の請求はできません。
提案書の内容が分からないまま、サインだけは絶対にしないでください。
保険会社の担当者から、早く返送してほしいと言われても、あわてる必要はありません。
示談の提案に、返事の期限はありません。
分からないまま返事をするのではなく、分かってから返事をする。
この順番を、必ず守ってください。

4.さぬき市の被害者からの法律相談(2)…慰謝料とは、どういうものですか?

4-1.ご相談の内容

知り合いから、交通事故の被害に遭ったときには、慰謝料というものを請求できるよ、と教えられました。
慰謝料というものは、どういうものでしょうか。
交通事故の被害を受けて、3か月ほど病院に通院治療しましたが、私も請求できるものなのでしょうか。

4-2.弁護士の回答

慰謝料とは、いしゃりょう、と発音します。
慰謝料とは、精神的な苦痛という損害に対して、金銭で埋め合わせをすれば何円になるか、という金額のことです。
交通事故でケガをした場合には、被害者は、痛い、という苦痛を感じることになります。
この苦痛が、精神的苦痛です。
ですので、交通事故でケガをした被害者は、全員、慰謝料を請求できるのです。
ケガの大きさは、病院への通院期間や通院日数で計測します。
ですので、交通事故の被害を受けた場合には、病院にマメに通院して治療を受けることが大事です。
病院への通院が3か月程度でしたら、マメに通院している場合には、約50万円程度を請求できる可能性があります。
ぜひ、弁護士に相談してください。

4-3.慰謝料には、3つの種類があります

一口に慰謝料といっても、交通事故の慰謝料には、3つの種類があります。
1つ目は、入通院慰謝料(傷害慰謝料)です。
けがをして、入院や通院をしたこと自体への慰謝料です。
けがをした被害者なら、誰でも請求できます。
2つ目は、後遺障害慰謝料です。
治療を続けても症状が残ってしまい、後遺障害の等級認定を受けた場合に、追加で請求できる慰謝料です。
3つ目は、死亡慰謝料です。
被害者が亡くなった場合に、ご本人とご遺族のために支払われる慰謝料です。
今回のご相談のように、3か月通院した方が請求できるのは、1つ目の入通院慰謝料です。
そして、もし治療後も痛みが残り、後遺障害と認定されれば、2つ目の後遺障害慰謝料が上乗せされる、という関係になっています。

4-4.同じケガでも、基準によって金額が変わります

先ほど、3か月の通院で約50万円程度、というお話をしました。
じつは、この金額は、どの基準で計算するかによって、大きく変わります。
慰謝料の計算基準には、自賠責基準、任意保険基準、裁判基準(弁護士基準)の3つがあります。
自賠責基準は、法律で決められた最低限の補償のための基準です。
1日あたり4300円をもとに、通院日数などから計算します。
任意保険基準は、保険会社の内部の基準で、自賠責基準に近い水準のことが多いです。
裁判基準は、裁判所が使う基準で、3つの中で最も高くなります。
約50万円という金額は、裁判基準で計算した場合の目安です。
保険会社の最初の提案のままだと、これより低い金額になっていることが少なくありません。
同じ3か月の通院なのに、計算の基準しだいで、受け取れる金額が変わる。
これが、交通事故の賠償の、知られていない現実です。

4-5.通院で気をつけてほしいこと

マメに通院することが大事、とお伝えしました。
ここで、2つ、注意点があります。
1つ目は、通院の間隔を、あけすぎないことです。
痛みがあるのに、仕事が忙しいからと通院をやめてしまうと、その時点で治ったものと扱われてしまうおそれがあります。
2つ目は、症状を、医師に正確に伝えることです。
慰謝料や後遺障害の判断は、カルテや診断書の記載をもとに行われます。
診察のときに、痛いところ、日常生活で困っていることを、遠慮せずに伝えてください。
我慢強い方ほど、大丈夫です、と言ってしまいがちです。
しかし、カルテに、症状なし、と書かれてしまうと、あとから覆すのは大変です。
通院は、治療であると同時に、あなたの被害の記録づくりでもあるのです。

【関連情報】
動画…「慰謝料」とは、どういう意味ですか?

5.さぬき市の交通事故解決事例…修理代の資料で治療打ち切りを防いだケース

5-1.事案の概要

さぬき市に在住の田中さん(仮名)は、交差点で右折待ちをしているときに、左方から交差点に進入してきた10トントラックに衝突されました。
トラックは、赤信号無視で突っ込んできました。
トラックは、幸いにして、田中さんの自動車の側面を、かすっただけでした。
もしも、トラックが田中さんの被害車両の真後ろから追突していたのであれば、死亡事故になっていたと思われました。
ただ、かすった程度であるとはいえ、トラックによる衝撃ですから、田中さんは、むち打ち症状となってしまいました。
保険会社は、ケガが大きくないので3か月で治療を打ち切ってほしい、と言ってきました。
納得できなかった田中さんは、弁護士に相談しました。

5-2.弁護士の対応と結果

弁護士は、交通事故が発生したときの、被害車両の修理代金に注目しました。
修理代金は、50万円程度でした。
そこで弁護士は、50万円くらいの修理金額がかかっているほどの衝撃があったのだから、人体にも大きな衝撃があったはずだ、ということを論証しました。
保険会社は、これを受けて、病院への通院の継続を認めました。
その後、田中さんは、6か月の通院をしました。
そして、弁護士の交渉によって、十分な慰謝料を賠償してもらえました。
保険会社の言いなりになっていたら、3か月で通院を打ち切られていました。
弁護士に相談して、受任してもらった甲斐があったケースだといえます。

5-3.弁護士による解説…物損の資料が、人身の証拠になります

この事例のポイントは、車の修理代金という物損の資料を、けがの治療の必要性という人身の主張に使ったことです。
むち打ちは、レントゲンなどの画像に写りにくいけがです。
そのため、保険会社から、本当に痛いのですか、という目で見られやすいのです。
そこで役に立つのが、事故の衝撃の大きさを示す、客観的な資料です。
修理の見積書や請求書。
壊れた車の写真。
相手車両がトラックなど大型車であったという事実。
これらは、それだけの衝撃が体に加わった、ということの証拠になります。
だからこそ、事故直後の資料は、捨てずに保管しておいてください。
車の修理が終わると、修理関係の書類を処分してしまう方がいます。
しかし、その書類が、あとになって、治療継続や後遺障害の場面で、あなたを守る武器になることがあるのです。
もう一つ、6か月という通院期間にも、意味があります。
一般に、むち打ちで後遺障害の等級認定を受けるには、6か月程度の通院期間が一つの目安になると言われています。
3か月で打ち切られていたら、仮に症状が残っても、後遺障害の申請の土俵にすら立てなかった可能性があります。
治療期間を守ることは、その後のすべての手続きの前提になっているのです。

【用語解説】症状固定(しょうじょうこてい)
これ以上治療を続けても、大きな改善が見込めない状態のことです。
症状固定かどうかは、保険会社ではなく、医師が判断します。
症状固定の時点で残っている症状が、後遺障害の等級認定の対象になります。

【関連情報】
→質問 保険会社から「治療費の支払いを打ち切る」と言われましたが?

6.さぬき市の交通事故被害者のために役立つ情報

6-1.弁護士費用特約を確認してください

弁護士への相談をためらう理由として、費用の心配を挙げる方が多くいらっしゃいます。
そこで、ご自身やご家族の自動車保険に、弁護士費用特約が付いていないか、確認してみてください。

【用語解説】弁護士費用特約(べんごしひようとくやく)
自動車保険などに付けられるオプションです。
弁護士に相談や依頼をするときの費用を、保険会社が負担してくれます。
多くの場合、300万円までの弁護士費用が補償されます。

弁護士費用特約を使えば、多くのケースで、自己負担なく弁護士に依頼できます。
ご本人の保険だけでなく、同居のご家族の保険に付いている特約が使えることもあります。
また、この特約を使っても、翌年の保険料は原則として上がりません。
まずは、保険証券を確認するか、ご自身の保険会社に問い合わせてみてください。

6-2.さぬき市の被害者のためのリンク集

さぬき市役所 身体障害者手帳の交付手続きのページへ
さぬき市の重心医療制度の紹介(医療費の助成制度)
障害者の方に対するタクシー助成制度
香川県交通事故情報提供システムのページへ
交通安全動画の紹介ページへ
さぬき警察署のページへ
交通事故の弁護士費用

6-3.次の一歩のために

示談の提案書が届いたとき、被害者にできる一番大切なことは、すぐにサインをしないことです。
内容を理解してから、返事をする。
それだけで、取り返しのつかない失敗の多くは、防ぐことができます。
このページが、さぬき市の被害者の方にとって、判断の助けになれば幸いです。
分からない書類が届いたら、一人で悩まず、専門家に確認してみてください。
その一歩が、適正な賠償への近道になります。