質問:示談した後に後遺障害が発見されたら、どうしたらよいですか? 弁護士 吉田泰郎が回答しています
「示談」は慎重に行いましょう
今回は「示談した後に後遺障害が発見されたらどうしたら良いでしょうか?」というご質問をいただきましたので解説したいと思います。
まず、示談とは加害者から慰謝料を支払ってもらうことですが、同時に被害者からすると「この示談で決まった金額以上の請求はもうしません」と確定することです。
したがって、示談というのは慎重に行うべきことで、保険会社が出してきた書類に内容をしっかりと確認せずにサインをする事は避けるべきです。
示談をするとそれ以上相手方に損害賠償を請求することはできないわけですから、示談後に後遺障害が突然発生したらどうすれば良いだろうかと不安に思う気持ちはあると思います。
私が推奨するのは、少なくともすぐには示談しないことです。
数か月後に痛みが出たらどうしようと不安に思う場合は、数か月間示談をせずに待てば良いわけです。
例えば半年ぐらい待っても良いと思いますし、それでも不安でしたら1年ぐらい待っても良いと思います。
保険会社の担当者から早く示談してくださいと言われても、「後遺障害が出たら困るので今すぐには示談せずに少し経過を観察します」と言っても良いと思います。
半年や1年待っても何も問題がなかったら、事故による影響というのはさすがにもう無いと考えて良いと思います。
後遺障害が不安なら「別途協議」する文言を加えましょう
基本的には、交通事故は外傷ですから事故の瞬間が一番悪い状態です。
それからだんだんと回復してくるのが一般的であって、事故の数か月後に極端に悪くなるということは絶対に無いとは言えませんが稀です。
それでも不安に思う場合は、「示談後に後遺障害が発見された場合には別途協議とする」という文言をつけておけば良いと思います。
保険会社もこのような文言については割と好意的です。なぜ別途協議の文言を入れてくれるかと言えば、示談の後に後遺障害が新しく発見されるということが滅多にないからです。
私も今まで何百件と示談を成立させていますが、示談の後に後遺障害が新しく発見されたということは1回も見たことはありません。ですから、あったとしてもとても稀だと思います。
被害者が「妊婦」の場合は様子を見ましょう
ただ、少し様子を見た方が良いと思う場合があります。
それはお子さんがお腹にいる妊婦さんが事故に遭った時です。
当然、事故の衝撃で胎児への影響が心配になります。
そういう場合には、何も影響がないように見えても実際に赤ちゃんが産まれてから本当に交通事故による影響がないかを確認すれば良いと思います。
私も過去に半年ぐらい保険会社に待ってもらって、赤ちゃんが生まれてから示談したことがあります。
そのケースでは赤ちゃんには交通事故の影響は特になかったです。
もちろん重大事故なら当然示談を待つべきだと思いますが、例えばむち打ちぐらいの事故で胎児に影響が出ることはあまりないと思います。
しかし、不安に思う気持ちは分かりますので、示談を待ってもらえば良いです。
なお、交通事故の場合に示談した後に後遺障害が発見されたら大変な目に遭うという噂があります。
1960~70年代の時代には確かにあったかもしれないと思います。
保険会社のやり方が荒くて、とにかく安い金額で示談させようみたいな所がありました。
そもそも後遺障害認定という制度があることも教えないとか、後遺障害認定をされたら困るから手続きを妨害するということが昔はありました。
ただ、当時の保険会社の利益追求の姿勢がかなり批判され、今では「後遺障害認定を受けずに早めに示談しましょう」ということはあまり見ないです。
事故の数年後に後遺障害が出ることはほぼありません
示談をしてから例えば数年後に後遺障害が新しく発見されるということは考え難いです。
仮に5年後に腰が痛くなったとしても、おそらくそれは事故とは別の原因だと思います。
事故が原因の場合は基本的には事故直後からずっと痛いはずです。
それでも心配でしたら、とりあえず2年ぐらいは示談せずに放置しましょう。
2年経ってもどこも痛くないのであれば普通は事故の影響はないと考えて良いでしょう。
今回は、「示談した後に後遺障害が発見されたらどうしたら良いでしょうか?」というご質問に対しての解説でした。
事故からかなり期間が経ってから後遺障害が出ることはあまりありませが、不安がある場合は2年ぐらい示談を待っても問題ありません。











