質問:後遺障害の慰謝料について教えてください。 弁護士 吉田泰郎が回答しています
後遺障害(後遺症)にも慰謝料が支払われる
今回は「後遺症の慰謝料の金額は?」というテーマでお話をしたいと思います。
慰謝料とは精神的な苦痛を埋め合わせるためにお金を支払うものです。
精神的な苦痛自体も1つの損害だということです。
怪我をしたこと自体に対しても慰謝料は支払われますが、それとは別に後遺症がもし残った場合にも慰謝料が支払われます。
ここからは、後遺症の慰謝料として裁判の時に認められる正しい金額はいくらなのかということについてのお話になります。
なお、後遺症は正式には「後遺障害」と言いますが、一般的には後遺症という表現でも良いと思います。
後遺障害に対しては、「慰謝料」と「逸失利益」という2つの観点を考えます。
慰謝料は精神的な苦痛に対する埋め合わせのことで、逸失利益は後遺障害が残ったことによって、将来給料が減る分に対する埋め合わせのことです。
つまり、慰謝料は主観的な損害で、逸失利益というのは客観的な損害と考えてください。
後遺障害は「14級9号」が最も多い
まず、後遺障害には等級が1級から14級まで14段階あります。
後遺障害としては、一番下の14級が数としては多いです。
また、14級の中に1号から9号がありますが、順位があるわけではなく、種類の違いに過ぎません。
その中で14級9号が1番多く、「局部に神経症状を残すもの」という損害です。
局部というのは体の一部分のことで、14級9号では首と腰の2つが多いです。
そして、神経症状というのは痛みのことだと考えてください。
つまり、「体の一部分に痛みが残ってしまった」のが14級9号です。
14級9号は数として多いですが、特徴的なのは客観的な画像所見は必要ないということです。
そのため、主観的な首の痛みがあるというだけで認められるものです。
もちろん、痛いと言っていれば後遺障害認定という訳ではなく、保険会社の方も痛みが残っていて14級9号に該当するのか、それとも嘘をついているのかというのは見ています。
14級9号に認定されるには?
まず、事故の状況から見て不自然ではないかということです。
例えば後ろから車に追突されて首が痛くなったということはよくあるケースですね。
しかし、後ろから追突されて肩が痛くなるというのは少し不自然です。
シートベルトをしていれば首か腰に痛みが出ることが多いです。
肩やおなかが痛くなることは稀です。このように事故の状況から見て不自然ではないかというのを見ます。
次に治療の経過も大事です。
6か月間、病院に定期的に通院して治療を受けているのかということです。
首が痛いと言いながら病院に1回も行っていない場合や、病院に行っていても月に1回だけという程度では後遺障害とは言えません。
通常は痛みがあれば自然とある程度は密に通院しているはずです。
私が推奨しているのは、週に2回以上は通院することです。
したがって、6か月間という期間も大事ですが通院回数の実績も大事です。
通院回数が多ければ多いほど後遺障害は認められやすいです。
また通院の頻度も大事です。事故の直後は毎日通院していても、2か月目からは月に1回になった場合は、最初は痛かったとしても2か月目から月1回だからもう治っていませんかと言われます。
望ましいのは、事故直後から6か月目ぐらいまで継続的に週1~2回ぐらいは通院していることです。
週1~2回継続的に通院するのは結構大変ですので、嘘をついて通院し続けるというのは難しいです。
ですから、実際に痛みがあって治療の必要性があるから定期的に通院しているという証明になります。
そして、6か月経過後に保険会社が治療費を支払わなくなっても、できるだけ自費で通院した方が望ましいと思います。
後遺障害の等級認定される関係で、自費であっても通院しているというのはかなり説得力があります。 4つ目は運です。
14級9号は同じ状況でも人によって認められたり認められなかったりということがあるので、絶対認定されるとは言えません。
その理由は、明確な画像所見がないからです。認定には様々な要素があるのでしょうが、最後は運も要素の1つです。
さて、14級9号の場合の慰謝料は110万円となっています。これは裁判所の基準です。普通の示談の場合は、保険会社はそれよりも低い金額を言ってきます。
後遺障害「12級13号」は画像所見が必要です
次に12級13号ですが、「局部に頑固な神経症状を残すもの」です。
12級の場合は首や腰が多いですし、自動車と歩行者の事故での肩の痛みが増えてきます。
診断基準としては「頑固な」神経症状なので、痛みの程度が高いということが自賠責保険の判定基準になっています。
14級の基準に対して、12級の「頑固な」というのは画像所見があるということに違いがあります。
12級に認定されるには、CTやMRI画像で痛みの原因が特定できる必要があります。
例えば事故で1回骨折して治る時に、前とは違う形で癒合して周囲に痛みが発生しているということが画像所見で医学的に言えるかということです。
ただし、ヘルニアの場合は画像所見があっても12級の認定は難しいです。
ヘルニアというのは背骨の骨と骨の間にある椎間板という板状のものが、骨の間からはみ出して神経を圧迫して痛みが発生するものです。
実は、事故によってヘルニアになったかどうかは判断できません。
事故の後に痛みが発生した場合でも、もともとヘルニアになっていた可能性があるためです。
医学的には一定年齢以上の人は椎間板がある程度出ていることはよくある話だそうです。
ですから、椎間板が飛び出したのがこの事故による影響かは判断できないというのが実務での現状です。
さて、12級に認定された場合には慰謝料の金額は290万円です。
12級になってくると後遺障害の慰謝料の金額だけでも結構な金額になってきます。
後遺障害の慰謝料以外にも休業損害や将来の遺失利益を合わせると、全体としては1200~2000万円ぐらいになります。12級になってくると交通事故での重傷という扱いです。











