質問:重傷の場合、慰謝料の相場はどうなりますか? 弁護士 吉田泰郎が回答しています
「重傷」の場合の慰謝料の相場
前回はむち打ち症状等の軽傷の場合の慰謝料の相場を解説しました。
今回は事故等で重傷を負った場合の慰謝料の相場について裁判所の基準で解説したいと思います。
重傷の場合は怪我の重さや精神的な苦痛の大きさが軽傷の場合とは違います。
むち打ち症状が軽いという訳ではないですが、命にかかわるような重傷と比較すれば軽いと言えます。
そのため重傷の場合には軽傷と比較して慰謝料の相場は高くなります。
どのような場合に「重傷」と判断されるのか?
それでは具体的にどのようなケースが重傷に当たるのかをお話します。
まずは「骨折」を伴う場合です。
骨が折れるというのはかなり大きな苦痛がありますから、典型的な重傷と言って良いと思います。
次に「意識不明」になってしまった場合です。
事故の衝撃で1~2時間意識が不明になってしまった時間帯があるということですね。
ドラマやマンガでは主人公が意識不明になることがありますが、実際に意識不明になるのはとても怖いことです。
事故等で意識不明になってしまった場合にそれが回復するかどうかはお医者さんでも正直分からないことです。
したがって、人間が睡眠以外で意識不明になることは現実問題としてはかなり危険だと考えてください。
また、1~2日というような短期間ではなく、2~3か月の「数か月入院」が必要な場合の怪我というのはかなり重傷です。
通常は骨折を伴っていると思います。
さらに、「後遺障害」が残るような怪我を負った場合です。
後遺障害14級の場合に重傷に当たるかは若干疑問ですが、12級以上の後遺障害が残っている場合は重傷と考えて良いと思います。
具体的な事例と慰謝料の金額
それでは、具体的なケースで慰謝料の金額がどれくらいかということを説明します。
例えば、入院はしなかったけれども骨折をしてギブスをはめたり松葉杖をついたりして通院3か月だったケースでは、73万円というのが裁判の時の基準です。
3か月で73万円というのは結構高い金額ですから、かなり重く評価されているということですね。
入院なしで通院6か月の場合は116万円の慰謝料の金額になっています。
むち打ち症状のように軽症の場合に通院6か月の場合は89万円ですので、116万円は高いですね。
つまり、重傷の場合には軽傷と比較して裁判の時はかなり大きな苦痛だと評価してもらえると考えてください。
また、重傷の場合は入院が必要なケースが結構あります。
入院するとさらに慰謝料金額が高くなります。
入院1か月と退院後3か月通院したような場合には115万円となります。 通院3か月と言うと短期間に思いますが、それでも115万円出るということですから、重傷の場合は苦痛が大きいと評価されているわけですね。
入院2か月後に通院6か月というケースは結構多いと思います。
骨折が2箇所ぐらいあって、特に足の怪我の場合には歩行が難しいところがあります。
歩行するとさらに骨が折れてしまうことがあるので、安静にしてベッドの上から動かないで下さいと言われることがあります。
そのため、入院2か月後にリハビリを兼ねて通院6か月というのは、足の怪我ではよくあるケースかと思います。
このようなケースでは慰謝料金額181万円とかなり高額になってきます。
次に3か月の入院が必要な場合は、かなり大きな怪我と考えて良いと思います。
なお、現在は病院の都合で入院は3か月区切りになっています。
動ける状態でしたら普通は3か月で退院となります。
どうしても3か月以上入院する必要がある場合は他の病院に転院することがあります。
入院3か月後に通院10か月の場合は230万円とかなり高額になってきます。
この金額が慰謝料としてはほぼ最大になります。
入院や通院が長いほど慰謝料が高くなるわけではありません
裁判時の基準では入院期間に比例して慰謝料がそのまま直線的に上がるのかと言うとそういう訳ではありません。
上がり幅としてはだんだんと鈍化していくため、直線ではなく曲線で上がり横ばいに近くなっていくことが裁判の時の基準になっています。
その理由は様々ありますが、理由の1つはむやみに入院や通院をして欲しくないということが裁判所としてはあるのではないかと思います。
長期間入院や通院をしてもあまり得にならないようになっているということです。
例えば、入院3か月後に通院を1年半した場合にどうなるかというと、慰謝料の金額は242万円になります。
それなりに高い金額ですが、通院10か月でも230万円でした。
したがって、さらに8か月通院を継続しても12万円しか上がらないということですから、上がり幅がだんだんと減っていき、通院が10か月以上の場合は、1か月につき2万円ぐらいしか上がらなくなっていきます。
わざわざ慰謝料を上げることを目的にしているわけではないですが、長い期間通院しても損害賠償金額はそれに見合って上がっていくわけではないということです。
もちろん最初の3か月あたりは通院期間に比例して慰謝料金額は上がっていきますが、10か月ぐらいを境にしてだんだんと増加率は小さくなっていくと言えます。
今回は重傷の場合の慰謝料の相場についてお話ししました。
これはあくまでも裁判での基準ですので、示談の時には目標値としてなるべくこの金額に近づけるように頑張って交渉するということになります。











